長時間労働やパワハラ、人間関係のストレスなど、働く上で精神的に限界を迎えてしまいそうなことはたくさんあります。しかし、あまり無理をして働き続けていると、身体を壊してしまう可能性も出てきます。
いずれにしても長く働き続けることができないなら、会社を退職し転職をすることも立派な選択だと思います。ただし、正直に退職理由を「精神的に限界」と会社に伝えて辞めたり、転職先への面接で伝えたりする必要はありません。
「精神的に限界」だけだと具体性がなく、退職を引き止められたり、採用されなかったりする可能性を高めてしまいます。こちらの記事では、精神的に限界で会社を退職しようと考えている方に、退職理由や転職時の注意点などをご紹介します。
サービス名 | 特徴 |
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退職代行ガーディアン |
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退職代行Jobs |
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弁護士法人みやびの退職代行サービス |
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退職理由が「精神的に限界」な場合の伝え方
労働環境や人間関係など、精神的に限界を迎えて退職を決意する方も多いです。しかし、「精神的に限界」なことをそのまま退職時に伝えることは避けておくべきでしょう。
「そんなことは甘えだ」と余計に厳しい言葉を浴びせられてしまったり、「そうしたらこう改善するから会社に残ってくれ」などと、引き止められてしまったりする余地を作ってしまうからです。
退職願は「一身上の都合」が一般的
自己都合で退職する場合、退職願や退職届には「一身上の都合」により退職すると記載することが一般的です。
一身上の都合により、誠に勝手ながら、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
一身上の都合とは、退職願や履歴書で使われる退職理由の定型句のことで、個人や家庭の事情で退職するという内容を含んだものです。精神的に限界で退職する際にも、一身上の都合で問題ありません(関連:一身上の都合だと本当の理由を聞かれる?答え方や使ってはダメなケース)。
ちなみに退職願と退職届には、次の違いがあります。
退職願 | 希望する日に退職できるかどうかを尋ねる。こちらの方が、角が立たない |
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退職届 | 退職希望日を一方的に伝える |
最初に退職を伝える際には、角が立たない『退職願』の形で伝えることが良いでしょう。
詳しく聞かれた場合の返答も用意しておく
書面によって退職を伝える場面では「一身上の都合」だけで問題ありませんが、実際には上司や同僚から「なんで辞めるの?」と、細かく退職理由を聞かれる事が予想されます。
真面目に全てを伝える必要はありませんが、はぐらかすと余計にしつこく聞かれることも起こり得ますので、建前の退職理由も用意しておくと良いでしょう。
「〇〇さんと一緒に働くことが限界」など、会社や上司のマイナスな部分を言及した理由だと、引き止めや会社から反論にあう可能性が出てしまいます。
「他にやりたい仕事がある」「家族の都合で今の仕事を続ける事が難しい」など、建前でも個人的な理由を用意しておけば、たいていの場合はそれ以上深く聞かれる事もないのでおすすめです。
心身が不調な場合は正直に話しても問題はない
精神的に限界を迎え、実際に心身に影響が出てきて医師からの診断も受けているようであれば、正直に会社にその内容を伝えて問題ありません。
会社によっては、休職期間を設けてくれて失業せずに心身の回復を目指すこともできます。また、配置転換によって苦手な人や仕事と離れることで、精神的な疲弊が解決していくこともあります。
また、長時間労働が続いていたり、ひどいパワハラを受けている場合は、労災や慰謝料請求が認められる可能性もあると考えられます。退職を会社に伝えるのと同じタイミングで、弁護士に相談することもおすすめします。
一人で悩みや辛さを抱えていても、余計に苦しくなってしまうことが多いですから、頼れる人には積極的に相談や打ち明けをするようにしてみてください。
精神的に限界で退職した方の転職時の注意点
ここまでは精神的に限界の方が「退職する」ときの内容をお伝えしました。こちらの項目では、これから再就職をする時に注意すべき内容をお伝えします。面接等で伝える内容によっては、マイナス印象を与えてしまってなかなか採用されないことにもなり得ますので、注意してみてください。
面接で退職理由を「精神的に疲れた」とは言わない方が無難
退職理由を伝えるタイミングは、前職を退職するときだけではなく、転職先への面接時にも行われます。
精神的に限界で退職したときだけに限りませんが、転職時の面接等では、マイナスな退職理由だけを伝えることは原則NGで、ポジティブな転職理由に転換して前向きに伝えることが良いです。
また、「精神的に限界」とだけでは具体性に欠けますので、会社が悪かったのか・本人に忍耐力がなかっただけなのかが分からない状態だと言えます。次の2点に注意してみましょう。
前向きに変換する
前職の愚痴にもなるような退職理由だけだと、良い印象は持たれません。
- 「〇〇の仕事を希望して入社しましたが人員不足で配置転換になり、やりたい仕事ができなかったため、御社の〇〇職を希望しました」
- 「休日出勤が多く、家族との時間を作りたいと考え、育休や休暇制度に力を入れている御社を希望しました」
など、前職を辞めた理由と併せて、現状を変えるために行動を起こしたことや志望動機と絡めるなど、前向きに変換すると悪い印象は持たれにくくなります。
具体的に伝える
退職理由に具体性がないと、本当なのか、過剰に言い過ぎているだけなのでは、と思われてしまうこともあります。客観的にも状況が分かるように、次のように具体的に伝えられる回答を用意しておきましょう。
- 「毎月80時間以上の残業があり、会社に相談しても改善が見られず、心身共に疲弊して、これ以上仕事を続けることが難しかったので退職することを決めました」
- 「現場で罵声や暴力が当たり前のように行われる職場で、相談窓口などもなく、改善の余地がなかったので退職しました」
会社が嫌で辞めたと伝える際にも、客観的に酷い労働環境だったのだと分かってもらえるように、具体的に伝えるようにしておきましょう。
うつ病などを患っている場合は伝えた方が良い
基本的に「うつ病」を患っていることはマイナスな理由になりますが、入社した後にトラブルにならないよう正直に伝えた方が良いでしょう。
うつ病等の事情を知りながらも採用してくれた会社であれば、入社後も配慮してくれますので、そちらの方が安心して働けます。どうしても転職に難航しそうなのであれば、転職活動は一旦横に置いておいて、病気を完治させることに専念した方が良い状況だとも言えます。
医師に相談しながら、今は働くべきか療養すべきかを判断してもらいましょう。生活資金に不安がある方は、市区町村役場やハローワークに行くことで、失業手当や治療費の助成などできる場合もありますので、相談しに行くことをおすすめします。
精神的に限界でも退職をしないリスク
精神的に限界でも、会社が簡単に辞めさせてくれない・退職後が心配でなかなか辞められないなど、そのまま無理をし続けてしまう方もおられます。
精神的に限界でも退職しなかった場合に「起こり得るリスク」についても考えておいてください。 少し大袈裟に感じるかもしれませんが、無理し続ければ身体への負担は蓄積していきますし、ある日突然身体に異変が出てしまうこともあります。
仕事に支障をきたす
精神的に疲弊していると、体力も落ち、注意力も低下しているため、小さなミスや事故が発生しやすくなってしまいます。交通事故や現場での事故などを起こしてしまえば、取り返しのつかない事にもなりかねません。
「頑張ることは美徳」のような風潮もありますが、頑張りすぎた結果にマイナスな出来事が起こってしまうこともあります。
精神的な病にかかる
今は我慢ができていても、体が反応を表し始めることもあります。
引用:みんなのメンタルヘルス|厚生労働省
- 食欲がない
- 性欲がない
- 眠れない、過度に寝てしまう
- 体がだるい、疲れやすい
- 頭痛や肩こり
- 動悸
- 胃の不快感、便秘や下痢
- めまい
- 口が渇く
厚生労働省によると、うつ病の初期症状として上記の内容が身体に表れてくると記載があります。
もし、原因も分からず上記の症状を感じているのであれば、「心身を休めるべき」とのサインかもしれません。 医師から診断を受けたり、休職や有給休暇を取ったりするなどして、身体を休めることに専念しましょう。
社会復帰が難しくなる
うつ病などを患ってしまうと、一度回復しても再発症しやすくなってしまいます。今の会社でうつ病になってしまった結果、次の転職先でもちょっと大変なことが起きると辛くなってしまい、その度休職や転職を繰り返してしまうようなことも起こり得ます。
職業の空白期間ができてしまったり、転職を繰り返してしまったり、年齢が上がってしまったりすることで、再就職が難しくなってしまう事も起こってしまうのです。
仕事で精神的に限界と感じた時の対処法
仕事で精神的に限界だと感じたのであれば、無理を続けることは厳禁です。退職するかどうかはさておき、周りの人に相談しながら、今の状況を変えられないかどうかを探っていってください。
繰り返しますが、このまま我慢を続けても状況が改善される可能性は低いです。何かしらの行動を起こしていきましょう。
会社に相談する
精神的に限界は感じていても、会社内で解決できる余地があるようでしたら、会社に相談する事から検討しましょう。ある程度の規模の会社であれば、社内に相談窓口が設置されていますので、労働環境の改善やパワハラ対応などの相談ができます。
また、上司に相談することで、配置転換等の対応を取ってもらえるかもしれません。会社内で配置転換や業務内容の変更などをしてもらえるだけでも、精神的負担を大きく軽減できる場合があります。
会社としても、転職されて人材を補充するより話を聞き入れた方が負担も少ないと考えて、対応してくれる可能性があります。
医師の診断を受ける
上でもお伝えしましたが、精神的に限界な状態が続くと、うつ病等の精神疾患などになってしまう可能性もあります。身体の異変が出てくる前に、少しでも早く医師からの診断を受けることを考えてください。
お医者さんが「これ以上我慢することは良くない」と、言ってくれるのであれば、退職や休職を決意するきっかけにもできますし、診断書があることで休職手続きができる可能性も出てきます。いずれにしても、専門知識を持っている人にあなたの身体の状態をきちんと診てもらうようにしましょう。
休職をする
身体にも影響が出始めていて、これ以上働く事に限界を感じているようであれば、一度休職をしていく事も考えてください。こちらも、会社に了承を得て休職期間に入りますので、事前に会社に相談する事は同じです。
会社によって休職の規定は違いますが、多くが医師からの診断書が必要とされますので、ご自身の身体の状態を確かめるためにも、同じタイミングで医師に通う事もしておきましょう。
会社の規定にもよりますが、数ヶ月間満額〜8割程度の給料をもらいながら休職期間に入ります。一般的に休職期間は3ヶ月〜1年程度が多いようですが、その間は仕事のことを考えずに、療養に専念しましょう。
休職制度がない会社であれば、健康保険組合からの傷病手当によって、休職しながらも前年の収入の2/3を最大1年半受ける事ができます。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
転職をする
他の従業員に対しても長時間労働やパワハラが横行しているような会社であれば、会社内での改善は困難だと考えられます。早急に退職を考え、転職先も徐々に探していきましょう。
ただし、働きながら転職活動をすることは、より一層負担が増えてしまいます。すでに精神的に限界を迎えている方は、退職→療養→転職活動というように、無理のないペースで再就職をしていく計画を立てていきましょう。無理は禁物です。
退職後も失業給付金などである程度の生活資金を確保しながら転職活動することが可能です。ハローワークに相談しながら使える手当はしっかり受け取って、余裕を持って次の再就職に備えておきましょう。
まとめ
働く上で大変なことはたくさんありますが、精神的に限界を迎えているのであれば、退職も検討すべき段階です。ただし、退職理由に「精神的に限界」とだけ伝えても、相手にはなかなか伝わりません。
まず、今の会社を辞める際には「一身上の都合」と記載し、詳しい状況は口頭で説明すると良いでしょう。その場合も、ネガティブに会社や社員の悪口を言って辞めるのではなく、個人的な理由や前向きな理由を出して辞めると退職時に揉めることも少ないです。
転職活動でも「精神的に限界」と、退職理由を使うのはNGです。こちらも前向きな理由に変換したり、より具体的にどの部分が大変だったかを伝えられたりするように準備をしておきましょう。
いずれにしても、ご本人が限界だと感じている状態で無理をし続けることは危険です。退職を検討したり、医師や会社の相談窓口、労働基準監督署など周りの人にも相談したりする機会を作っていきましょう。