精神的に辛く休職を考えている男性

悲しいことにうつ病で休職した後に「ずるい」と言われることがあります。そういった周りからの白い目が気になり、無理をして働き続けている方もいるでしょう。

ズバリ申し上げると、体調を崩して休職することを「ずるい」などと言う人の顔色を伺って働き続ける必要はありません。大事なことは、必要に応じて仕事を休み、しっかりとうつ病を治すことです。

また、職場や仕事内容にうつ病の原因があるのであれば、そのまま退職し、会社を変えてみることを一つの選択肢です。「ずるい」などの心無いことを言われるかもしれませんが、気にしてはいけません。

前向きに次の仕事や病気の治療に集中しましょう。こちらの記事では、うつ病で休職するときにずるいなどと思われてしまう原因や対策に付いてご紹介します。

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うつ病で休職後に退職するのが「ずるい」と言われる理由

残念なことに、うつ病で休職し、退職することで「ずるい」などと言われてしまうこともあります。そのようなことを言う人など相手にしなくても良いのですが、どのような理由から「ずるい」などと思われてしまうのでしょうか。

休めるだけ休んで退職するから

前向きにやる気を持って働いている人ばかりではなく、嫌なことやキツいことがあっても我慢しながら働き続けている人も多いでしょう。

そのような余裕がない人からすると、「あの人だけ休んでずるい。」などと考えられてしまうこともあるかもしれません。

さらに、休職後に退職するとなれば、「辞められて良いな〜」という、嫉妬にも似た感覚からずるいなどと思う人も出てくるのでしょう。

休職中もお金をもらえるから

休職制度がある会社では、休職中も給料の何割かを受け取ることができます。また、休職制度がない会社でも、社会保険に加入している会社員は「傷病手当金」が貰えます。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

引用元:傷病手当金 | こんな時に健保 - 全国健康保険協会

傷病手当金で支給される金額は「給料の3分の2」で、最大で1年6カ月間受給することができます。人によっては長期間お金を貰うことができる制度ですので、中には「休んで何もしていないのにずるい」と思われてしまうこともあるでしょう。

うつ病の診断書は簡単に取れると思われているから

近年、企業がメンタルヘルスに気をつけている反面、『社会的うつ』という新たな問題を生じさせていることをご存知でしょうか? 社会的うつとは、医学的な診断基準に該当しない軽度のうつ病と診断されることにより、休職を取りやすくなった状態です。

その一方で、働きなくないという理由だけで軽度のうつ病と診断され休職する従業員も出てきて、結果的に周囲から、「うつ病はすぐに診断されるもの」などと認識されるようになってしまいました。

これによって本当にうつ病で悩んでいる方でも「ずるい」「甘えている」などと受け取られてしまうようなことも起こっているのです。

うつ病で休職してから退職する人の割合

10年ほど前の調査なので少し古いですが、メンタルヘルスの不調を感じた方がその後どのような対応を取ったかの調査結果があります。独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、メンタルヘルスの不調で休職した人は合計7.7%、その後に退職した人の割合は合計4.7%でした。

そのまま働いている 72.0%
通院しながら働いている 8.3%
休職・復職を繰り返している 1.1%
休職→復職している 2.9%
休職→復職→退職 1.5%
休職→退職 3.2%
休職せずに退職した 8.6%

参考:図表39メンタルヘルス不調者のその後の状況|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

程度にもよりますが、メンタルヘルスの不調を感じてもそのまま働き続けると答えた方が70%以上いることがわかりました。その一方で、休職までする人はわずか7.7%。そのまま退職したい人8.6%より少ない結果になっていることが分かります。

ですので、うつ病で休職をする人は会社内でも珍しいと言えます。頻繁にうつ病による求職者が出れば「またか〜」「あの人サボっているのでは」などと思われるかもしれませんが、休職自体が珍しいものですので、「ずるい」よりも「どうしたんだろう?」と思うだけの人も多いのではないかと予想されます。

うつ病で休職する時の注意点や対処法

こちらでは、これから休職を考えている人が、気を付ける場合や、休職が認められなかった時の対処法などについてご紹介します。

ほとんどの場合、医師からの診断書が必要

会社の規定によりますが、うつ病で休職する際には医師からの診断が必要になります。上記でご紹介した、『社会的うつ』が増えた背景に、医師からの診断が貰いやすくなったことがあります。

医学的な診断基準を満たさなくても、自己申告のような形で診断書自体は取りやすいのですが、症状が軽いようでしたら「ずるい」と思われてしまう可能性が出てきてしまうかもしれません。

いずれにしても、休職手続きに入る前に医師から診断を受けるようにしておきましょう。

休職できる期間は会社によって異なる

休職制度は会社によってまちまちで、休める期間も決まっていることがあります。インターネット上などで休職期間について調べたとしても、それがあなたの会社にも当てはまるとは限りません。1ヶ月などの短期間で復職になることも多いでしょう。

また、そもそもの休職制度を取り入れていない会社もあります。そのような場合には、健康保険組合からの傷病手当によって前年の収入の2/3をもらいながら休むことも可能です。

「休職するなら退職しろ」と言われたら

言い方が悪いのですが、うつ病を発症した社員のことを足手まといに思い、「休職するなら退職しろ」などと退職を勧められたり、実際に退職させられたりすることも起こり得ます。

しかし、会社は原則的にうつ病を理由に従業員を退職させることはできません。無理やり退職させられた場合には、不当解雇を受けている可能性があります。

また、しつこく退職を勧められたり、嫌がらせを受けるようになった場合には、パワハラ等が起きているとも考えられ、それ以前のうつ病発症の原因も会社にあるようであれば、それも合わせて損害賠償請求ができる可能性があります。

ご本人だけで対応しても、相当な労力と精神的負担が掛かりますので、労働問題に詳しい弁護士に相談しながら対処していくことをおすすめします。

休職か退職、どっちにするか悩んだら

現在働いている方は、休職するか退職するか悩んでいる方も多いでしょう。当サイトとしては、悩んだ場合にはまず休職してみることをおすすめします。一旦職場から離れ、心身ともに回復すれば、今の会社でも前向きに働けるようになることも多いです。

さらに、休職中であれば給料の一部をもらえますので、生活資金で大きく困るようなことも少ないでしょう。うつ病が回復する前に無理に転職しても、辛い気持ちが続いてしまうことも多いです。

一定期間は失業手当等で生活はできますが、症状が回復する前にお金に余裕がなくなってしまえば、焦って転職先を探すことになり、そのことがまた精神的な負担になります。

また、体調が万全ではない時に転職活動をしても採用されない可能性を高めてしまいます。まずは休職をしてうつ病をしっかり治すことを最優先することをおすすめします。

うつ病で休職しそのまま退職する場合

うつ病で休職したものの、上限だった休職期間を過ぎたり、今の仕事に復帰できなさそうだと判断できたりした場合には、そのまま退職を考える人も出てくるでしょう。 休職から退職することも可能ですので、こちらの項目で手順についてお伝えします。

会社への伝え方

休職中に退職を決意した場合には、通常の退職と同様に上司や会社の人事部に連絡を入れます。上司に話すことに抵抗があったり、休職手続きを人事部経由で行っていたりする場合には、人事部に退職を伝えた方が良いでしょう。

会社に行かなくても退職手続きを進められる場合もありますので、一度会社に確認してみてください。必要書類へのサインや持ち物の関係などで、何度か会社に行く必要が出てくることもあります。

退職金も受け取り可能

退職金がある会社では、休職から退職することになっても退職金を受け取ることができます。万が一休職したことを理由に退職金が受け取れないようなことがあれば、退職金未払いの可能性も考えられますので、弁護士に相談してみてください。

その一方で、休職期間中は退職金の算定から外れていることもありますので、退職金支払いの規定を確認しておくことをおすすめします。

退職の挨拶はメールでもOK

退職時に挨拶をして辞めていくマナーを気にしている方もおられるでしょう。しかし、こちらにも「うつ病で休職している」という事情があるので、無理に挨拶をする必要はありません。

お世話になった人だけでも挨拶をしておきたいのであれば、メールで挨拶を済ませて大丈夫です。

荷物は郵送してもらう

休職から会社に行くことなく退職していくこともできますが、会社に個人の私物が残っている場合には、私物を引き取っておかなくてはなりません。

会社としても退職者の個人の私物がそのままにしてあるとトラブルにもなりかねませんので、退職時に全部回収してもらいます。

会社に行くことに大きな抵抗がなければ直接取りに行っても良いですが、抵抗がある方は自宅まで郵送してもらいましょう。

うつ病で退職したら何かデメリットはある?

うつ病で退職することに大きなデメリットはありません。履歴書等に書く退職理由も「一身上の都合」で問題ありませんので、自己都合退職と変わりありません。

理想としては、うつ病が完治してから再就職をすることが一番で、その場合には、若干の空白期間が出てくるくらいで、それ以外のデメリットはありません。うつ病が治らないまま再就職する際には、自分がうつ病だと事前に申告しておいた方が良いケースも多いです。

黙ったまま面談を受けた方が採用されやすいかもしれませんが、会社からの配慮も足らずに、結果的にまたうつ病が悪化してしまうおそれもあります。失業手当や治療費等の助成金が受けられる場合もありますので、ハローワークに相談しつつ転職活動をすることもおすすめです。

まとめ

うつ病で休職・退職する際に他の社員から「ずるい」などと思われることを心配されているかもしれません。確かに「自分も忙しいのに」という妬みなどからそう思われてしまうこともあるかもしれませんが、心配しすぎる必要もありません。

万が一ずるいと言われるようなことがあっても無視して構いません。大事なことは、まずあなたがうつ病をきちんと治すことです。病院に通ってしっかり治療を進めていきましょう。

うつ病の症状が良くなってきたら、復職したり、転職したりしてもう一度前向きに働き始めましょう。うつ病になった原因が激務や人間関係などハッキリしている場合には、今の会社にこだわり過ぎずに転職することで前向きに働きやすくもなります。