「転職を繰り返すのは良くない」ということはどこかで聞いたことがあると思います。確かに短期間での転職回数が多いと、企業からも「すぐに辞めるのではないか?」と敬遠される要因になります。
特に20代で複数回転職することになった方は、同じ20代が何回くらい転職するのかが気になるところです。先に端的にお伝えすると次の傾向になっています。
- 20代の転職経験者は20〜30%
- 平均転職回数は1回
今の職場に合わないようであれば、1回目の転職であれば積極的に挑戦しても良いでしょうが、2回目以降は少し慎重になった方が良いでしょう。
20代で転職する人の割合は20~30%
冒頭でもお伝えしたように、20代で転職する人は20〜30%ほどいます。
リクナビが行ったアンケートによると、76%の20代が転職未経験で、残りの24%が20代のうちから転職をしたことがあると答えています。
20代の平均的な転職回数は1回
厚生労働省が行った調査では、20代で転職した人のうち約60〜70%の人は転職回数が1回で、ほとんどの人が1回だけの転職で留まっているようです。
上のグラフを見ると、20代の中でも25歳以上になれば、その分転職回数も多くなることが分かります。 また、2回以上転職している方も30%程度はいる結果になっていました。
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企業は3回目からの転職を気にしている
転職回数を気にする方は、やはり転職先企業からの印象が悪くなることを懸念している人が多いのではないでしょうか?リクナビが企業の採用担当者に行ったアンケートによると、下の図のような結果になっています。
回数 | 回答率 | 回数 | 回答率 | 回数 | 回答率 |
---|---|---|---|---|---|
1回 | 2% | 2回 | 8% | 3回 | 40% |
4回 | 16% | 5回 | 12% | 6回 | 4% |
7~9回 | 2% | 10回以上 | 1% | 気にならない | 15% |
このアンケートでは、転職回数は3回目から採用担当者が気になり出すとの結果が分かりました。ただ、こちらは20代転職者だけが対象ではなく、全年齢が対象のアンケートです。
20代のうちに転職を多くしていれば、それだけ短い期間で転職を繰り返していることになるので、悪い意味で転職回数が目立ってしまうことにもなります。
なお、気にしないという回答や5回位以上の転職でやっと気にし始める採用担当者も合計20%います。転職回数を気にするかどうかは、会社次第・業界次第になることもあるようです。
20代で転職を繰り返す人の特徴
こちらの項目では、どのような人が転職を繰り返してしまうのかをご紹介します。基本的には、転職を繰り返してしまうのはネガティブな理由が多いです。
やりたい仕事がない
20代でやりたい仕事が見つからないと言う人は多いです。なんのために仕事をするのかモヤモヤしたまま過ごし、数ヶ月・数年経ったら新しい仕事を探して転職を繰り返す人です。
転職をしていく中で良い仕事や会社に巡り逢えれば良いですが、なかなか長く働きたいと思う仕事が見つからず、何度も転職を繰り返してしまう人も多いです。
漠然とやりたい仕事を探すための転職を繰り返すのではなく、まずは自己診断なり適正などを調べてみて、ある程度の方向性を決めてから転職をしていくと転職回数も減らしていけるでしょう。
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忍耐力がない
会社で少しでも嫌なことがあると転職をしてしまう人です。仕事をしていると、上司から嫌なことを言われた、取引先からクレームを受けた、などの落ち込んでしまう出来事は必ず起こります。
その度に、会社に行くのが嫌になり転職を繰り返してしまうと、待遇や労働環境の悪い会社にしか受からなくなり、結果的に自分を苦しめることになる可能性もあります。
心身に不調が出るまで我慢し過ぎることも良くありませんが、上司などに相談することで問題を改善できる場合もあるので、まずは今の会社で状況が良くなる方法はないか考えてみましょう。
飽きやすい
ある程度仕事に慣れてくると飽きて転職を考えるような人です。このタイプの人は、器用に仕事もこなせ、人間関係も良好にできる人も多いのですが、『器用貧乏』という言葉が当てはまるような状態に陥りやすいです。
継続性がないので、特に目立った技術や知識が身につかないことも考えられます。人生1度きりですから、色々な仕事を経験しても良いとは思いますが、ご自身が成長できるかどうかという観点でも考えてみましょう。
職場に馴染めない
職場に馴染めず人間関係が嫌になり転職を繰り返す人もいます。実際、当サイトが行った「転職してよかった人の割合と理由」を調査したアンケートでも、「人間関係」は転職してよかった理由・後悔した理由でともに1位となっています。
よくある理由としては「上司が嫌い」「信頼して相談できる相手がいない」などです。しかし、人間関係の問題は、周りに変化を期待しても解決はしないでしょう。
ご自身のコミュニケーション能力不足も考えられますが、実際、自分にとって過度なストレスとなる人とは一緒に働くことは難しいです。人間関係を理由に転職をしても良いと思いますが、後々自分にとってマイナスにならないよう気を付けましょう。
キャリアアップを目指して転職を繰り返す20代もいる
ここまで転職を繰り返すことがネガティブに捉えられることをお伝えしましたが、キャリアアップを目指して転職を繰り返す20代の方もいます。
転職によってキャリアアップできる人とそうでない人の違いは、転職に対する考え方の違いが大きいと考えられます。ステップアップを目的とした前向きな転職では、給料や労働条件が良くなることも多いです。
ポジティブな転職 | ネガティブな転職 |
---|---|
・やりたい仕事がある ・目標を達成した ・退職後も社員と良好な関係 |
・今の仕事が嫌だ ・仕事についていけない ・人間関係が嫌 |
独立志向が高い20代の方などは、大企業から逆に規模の小さいベンチャー企業に転職するケースもあります。より裁量が大きい仕事をするために転職をし、結果的にそのベンチャー企業の役員になったり起業したりします。
転職回数が多いことは、逆に言えばそれだけ多くの経験を積めるということです。必ずしもネガティブなことではなく、転職を繰り返すことで自己成長や年収がどんどん上がっていく人もいるでしょう。
大事なことは、数年後の未来も考えて行動することです。キャリアアップを目指して転職を成功させたいのであれば、自分がやりたいことを明確にしたり、今の仕事を一通りやりきったりして、自己成長のためだと考えて転職に移ると良いでしょう。
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20代で転職しまくりの人はどうなる?
20代の転職回数は、1〜2回程度とお伝えしましたが、20代で複数回転職しまくっている人にはどのような影響が出てくるのでしょうか?
必ずしも不利になるとは限らない
転職が多いからといって不利になるとは限りません。転職するのには行動力も必要ですし、退職した会社や社員とも良好な関係が継続していれば、それだけ人間関係の幅も広がることにもなります。
上記でお伝えしたように、短期間で目標達成して前向きに転職を繰り返すようなキャリアアップ転職であれば、「幅広い職種・業界の経験があって、臨機応変に仕事をこなせる人」と評価してもらえることもあります。
段々と転職しづらくなる可能性
20代はまだ若さという強みがありますので、転職もしやすいのですが、30代や40代になれば徐々に応募しても採用されなくなることが増えてきます。
結果的に条件が良くない会社でしか採用されなくなり、その会社でも不満が積み重なって…というようなループに陥ることもあり得るでしょう。
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給料や役職が上がりづらい
年功序列の会社も減ってきてはいますが、まだまだ勤続年数と年収がある程度比例している会社も多いです。転職を繰り返すことは、給料が上がる前に転職し、また新しい会社の1年目から始まりますので、給料や役職も基本的に上がりにくいです。
20代のうちはそこまで差を感じられませんが、40代になる頃まで転職を繰り返していれば、同級生は給料もそこそこあって役職も付いているのに、自分はそこまで給料も立場も貰えていないような差を感じてしまう時が来てしまうかもしれません。
20代の転職回数でよくある質問
最後に、20代の転職回数でよく見かけた質問に対してお答えしていきます。
20代で転職は何回までセーフ?
上でもお伝えしたように、企業の採用担当者は「3回目の転職」から気にする人が多いです。2回目までの転職ならセーフと1つの目安にできるでしょう。
ただ、会社によっては気にしない・5回目以上から気になるという人が合計20%ほどいますので、会社や担当者次第になることも多いです。
転職回数を気にしない業界はある?
上記でお伝えしたように、転職回数をそこまで気にしていない業界・会社も一定数あります。ただし、転職回数をそこまで気にしない会社は、慢性的な人手不足の会社でもあると言えます。 人手不足と言われるのは以下のような業界が挙げられます。
- 医療・介護・福祉業
- 運送・物流業
- 飲食・サービス業
- 建設業
- IT業
ただし、人手不足ということは、低賃金や激務などのそれなりの理由があることも多いです。転職先の候補にする際には、事前に企業研究を慎重にするようにしましょう。
他にもスピード感が早いベンチャー企業が転職回数を気にしていないことも多いです。ただし、ベンチャー企業では、社長から経営陣までが総じて若いことも多いので、若い会社では年齢である程度のフィルターをかけられている場合もあります(20代ならたいてい問題ないでしょう)。
転職回数が多くても大企業に転職できる?
転職回数が多い人が大企業に転職できるかどうかは、これまでの職歴と大企業での職種に一貫性があることが重要です。転職回数が多くても、関連する職歴での転職であれば、一貫性を持ったアピールができます。
しかし、転職先がバラバラで一貫性がなく、大企業かつ未経験だと「行き当たりばったりで転職を繰り返す人」という印象を受けられることにもなり、転職も苦戦しやすいことが予想されます。
まとめ
20代で転職をする人は20〜30%いて、そのうち半数が1回の転職に留まっています。20代のうちから2回以上転職をする人がいれば、周りよりも転職していると判断されやすいでしょう。
大事なことは、転職回数だけでなく「転職の動機」です。前向きな転職であれば、「挑戦している」などと前向きに捉えられ、転職もうまく行きやすいです。
その一方で「嫌だから」と、転職を繰り返すような人は、転職しただけでは解決できない根本的な問題が残っているのかもしれません。
若いうちから悪い意味での転職癖がついてしまうと、給料も役職も上がらずに30代〜40代を迎えてしまうこともあるでしょう。 20代ならまだまだ方向転換も可能ですから、仕事や転職への考え方を改めてみる良い機会かもしれませんね。