厚生労働省の統計データ「令和2年雇用動向調査結果の概況」の「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」から、第二新卒の転職理由をランキング形式でご紹介します。
第二新卒の転職理由ランキング
第二新卒にあたる20〜24歳の転職理由1位~5位と割合は以下の通りです。※男性のデータを使用しています。
順位 | 転職理由 |
---|---|
第1位 | 給料が少なかった(13.2%) |
第2位 | 労働条件が悪い(11.8%) |
第3位 | 仕事内容に興味が持てなかった(8.5%) |
第4位 | 人間関係が好ましくなかった(6.8%) |
第5位 | 自分の能力を生かせない(6.7%) |
第1位:給料が少ない
第二新卒の転職理由第1位は「給料が少ない」です。全体のうち13.2%の人が、給料の少なさを転職理由に挙げています。
給料は仕事をするうえで大きなモチベーションのひとつです。同年代よりも給料が著しく低い、成果を出してるのに給料が上がらない、といったケースでは、その会社で頑張る意欲もなくなってしまうでしょう。
実際、転職をすることで年収が上がるケースも多いです。給料が安い会社でずっと働くより、思い切って若いうちに転職をすることも選択肢のひとつです。
第2位:労働条件が悪い
第二新卒の転職理由第2位は「労働条件が悪い」です。労働条件とは、労働時間や勤務形態、賃金などのことを言います(労働条件 - Wikipedia)。
具体的には、残業が多い・休日出勤がある・シフト制で勤務時間が不規則などが考えられます。特に残業が多い会社は、心身ともに疲労が溜まってしまい、転職を考えてしまうのも無理はありません。
また、こういった労働条件は、実際に会社に入ってみないとわからない部分も多いです。いわゆる「ブラック企業」のような会社に入社しないためには、事前に口コミサイトなどで会社の評判を調べておくことが大切です。
第3位:仕事内容に興味が持てなかった
第二新卒の転職理由第3位は「仕事内容に興味が持てなかった」です。新卒で就職を決めた時点では、実際に対応する業務の具体的な内容まではわからないことが多いです。
実際に働いてみて「興味が持てない」「他の仕事がしてみたい」と感じ、転職を考える人も珍しくはないでしょう。
第二新卒は年齢がまだ若く、未経験の仕事にも挑戦しやすい年代です。今の仕事を続けられないと感じるのであれば、未経験分野の仕事に思い切って転職するのも良いでしょう。
第4位:人間関係が好ましくなかった
第二新卒の転職理由第4位には「人間関係が好ましくなかった」です。第二新卒に限らず、職場の人間関係はよくある退職理由のひとつです。
全年代を対象にした「男性女性別の退職理由ランキング」では、「職場の人間関係」が女性で1位、男性で2位にランクインしています。
人間関係の悩みとしては、上司が怖い・イジメがある・頼れる人がいないなどが挙げられます。パワハラなどのハラスメントに悩み、転職を決意する方も珍しくはありません。
しかし、自分にも何らかの原因があるときは、努力して改善を目指す方法もあります。自力での解決が難しいなら、ストレスで心身の健康を損ねるより転職するのがよいでしょう。
第5位:自分の能力を生かせない
第二新卒の転職理由第5位は「自分の能力を生かせない」です。8.5%の人が、自分の能力・個性・資格が生かせないと感じて転職しています。
それぞれ得意不得意があり、自分に向いている仕事を選ぶことはとても重要です。向いている仕事であれば長続きするでしょうし、能力を最大限発揮できるため、仕事で成果も出しやすいでしょう。
成果を出せるという事は、会社から評価され、役職や年収なども上がりやすいです。向いている仕事に就くためにも、転職をする際は自己分析などを行い、自分の強みや弱みを把握しておきましょう。
第二新卒の転職理由の伝え方
転職の面接などにおいての転職理由の伝え方を紹介します。第二新卒の方が面接で転職理由を伝えるときは、次のポイントに気をつけてください。
転職理由はポジティブなものにする
転職理由はなるべくポジティブなものにするのが大切です。特に退職理由を「会社や上司のせい」など、他責にしないよう注意してください。
他責思考は面接官に悪い印象を与えてしまいます。実際はネガティブな理由でも、なるべくポジティブな表現に言い換えることが大切です。表現の例を2つ紹介します。
退職の理由 | ポジティブな表現の例 |
---|---|
給料が少ない | 成果や実績を具体的に評価してほしい |
能力や資格を生かせない | 能力や資格を生かして職務の幅を広げたい |
転職理由をポジティブにすることで、面接官から受ける印象は大きく変わります。
企業が第二新卒に期待していることのひとつは「今後の成長」でもあります。転職理由がポジティブだと、成長意欲が感じられる若者だと期待してもらえることもあるでしょう。
退職理由を本音で伝えても問題ない
面接においては、退職理由を本音で伝えても問題ありません。普段から多くの人と接している面接官は、相手が本音で話しているかある程度わかるでしょう。
無理に本音を隠してしまうと、面接官に与える心象に影響し、「どこか嘘っぽい人」という印象になってしまう可能性もあります。
言わなくても良いこともあるとは思いますが、本音で転職理由を語ることも大事です。本音で伝えるときは、次のポイントを意識しましょう。
- 嘘をつかない
- 前向きな姿勢を見せる
- 感情的にならない
ただし、現在勤めている会社や上司の悪口などは控えておきましょう。ただの悪口や言い訳になってしまわないよう気を付けてください。
また、自分にも原因があったのなら、反省し改善を考えているのが伝わるとさらに好印象です。
転職理由と志望動機で一貫性を持たせる
転職理由と志望動機には、一貫性を持たせましょう。転職を考えた理由は、そのまま志望動機につながります。
志望動機の例文を丸暗記して面接に臨んでいる人もいるでしょう。しかし一貫性がないと説得力に欠けてしまうので注意してください。
「〇〇するために転職を決意し、それが実現できる御社に応募した」という形になるとスムーズです。
第二新卒の転職理由の書き方【例文】
第二新卒の転職理由の書き方を、例文を添えて紹介します。転職理由を書くときは、事実ベースで具体的なエピソードを盛り込みましょう。
会社を辞めた理由だけでなく、転職で実現したいことも含めると伝わりやすくなります。なぜその企業を選んだのかを明確にするのも大切です。
文章を組み立てる参考として、ぜひチェックしてみてください。
「スキルアップや成長」の場合
【例文】 現職で営業としての経験を積むなかで、将来性のあるインサイドセールスに興味を持ち、スキルを身につけたく転職を決意いたしました。インサイドセールスに力を入れている御社でスキルを磨き、事業に貢献したいと考えております。
スキルアップや成長の場合、現職ではスキルが得られないといった不満は避けましょう。
転職理由はきっかけ程度に触れ、具体的に何がしたいかを盛り込み、習得したスキルで何ができるのかをアピールするのも大切です。
すでに勉強を始めているのなら、その内容も盛り込むと好印象を与えられます。
「キャリアチェンジ」の場合
【例文】 人と接するのが好きなため、現職では販売職として顧客対応をしております。しかし顧客への接客対応を行っているうちに、自ら顧客に提案を行う営業職に興味を持つようになりました。新商品の開発が活発な御社では、営業職として成長する機会が多いと考えております。現職で培った提案力やコミュニケーション力を生かし、営業として御社に貢献したい所存です。
「キャリアチェンジ」の場合は、なぜ別の業種・別の職種を選んだのかを明確にします。また、業種や職種に関わらず生かせるスキルをアピールすることも大事です。
具体的には次のようなスキルが挙げられます。
- 課題解決力
- 提案力
- コミュニケーション力
- 交渉力
- 調整力
どんな環境でも生かせるスキルは「ポータブルスキル」と呼ばれます。
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」では、ポータブルスキル見える化ツールを提供しています。
大きな強みとなりますので、自分の持つポータブルスキルは何かチェックしてみましょう。
「年収を上げたい」場合
【例文】 現職ではITサポートの法人営業を担当しております。関連会社への対応が中心となっており、目標を達成しても評価には反映されません。そこで「成果に応じた評価が得られる環境で働きたい」と考えるようになりました。営業部門を強化している御社で、これまで身につけた営業力・提案力を生かし、事業成長に貢献する所存です。
年収を上げたい場合は、「なぜ現職では給料が低いのか」を考えると、転職理由が書きやすいでしょう。
例文のように、会社の制度的にやむを得ないケースもあります。その場合も、ほかの理由と同様に不満は盛り込まず、事実だけを客観的に書くと好印象です。
まとめ
第二新卒の転職理由では、「給料が少なかった」がランキングの第1位です。また、労働条件の悪さや仕事内容、人間関係なども転職理由にランクインしています。
ネガティブな理由で転職する人がいるのは事実です。企業から転職理由を聞かれたら嘘をつかず本音で語っても大丈夫ですが、なるべくポジティブな表現に言い換えましょう。
転職理由と志望動機に一貫性を持たせるのも大切です。第二新卒での転職を成功させるために、ぜひ参考にしてください。