面接を受ける男性の画像

中途採用の転職では、筆記試験などは用意されていない事が多く、面接時の対応が合否に大きく影響します。合格するためには、面接で聞かれる質問に対して的確な回答をし、面接担当者から好印象をもらうことが重要です。

こちらの記事では、転職の面接でよくある質問を解説とあわせて10個ご紹介します。解説を参考にしていただいて、ご自身の状況に合った解答例を作り上げてみてください。

転職の面接の質問に答える際に共通して気をつけておくこと

具体的な質問と回答をご紹介する前に、転職の面接に挑む際に気を付けるべきポイントからご紹介します。たとえバッチリな回答を用意していたとしても、話し方や態度が良くないことで台無しになってしまうことがあります。

面接時に気をつけるポイントとしては、次のものがありますので、先に簡単に解説します。

≪面接時に気をつけること≫

  • 嘘を付かない
  • 質問に対して簡潔に答える。理由付けは後から
  • 話す速さや音量はゆっくり・はっきりを意識する
  • 面接官の目を見て答える
  • 面接時以外の挨拶や反応も大事
  • 臨機応変に対応する

嘘を付かない

当たり前ですが、嘘をつき自分を盛ってアピールするようなことをしてはいけません。面接を続けていくうちにボロが出てきてしまったり、「嘘をついている」という自責の念が態度に出てしまったりして、マイナス印象につながることになります。

もちろん、嘘をついているとバレた場合、採用される可能性は限りなく低くなるでしょう。また、入社後に嘘が発覚した場合にも、大きなトラブルに発展してしまうことも考えられます。

質問に対して簡潔に答える

質問に対して、より詳しく・長く答えた方が良いかというと、そのようなことはありません。質問に対して、簡潔に要点を伝えられるかが大事です。

まず、聞かれた質問に対する回答を1番先に伝えて、その後に理由や具体的な例などを伝えていくと、要点を説得力を持って伝えることができます。いわゆる「結論ファーストで話す」ということです。

回答が長くなりすぎると何を伝えたいのかがよく分からなくなります。用意した回答を実際に口に出して読んでみて、基本的には1〜2分程度で終わる内容にまとめると良いでしょう。

話す速さや音量はゆっくり・はっきりを意識する

用意した回答を一語一句間違わずに言おうとすると、ついつい早口になり、一方的に用意された内容だけを言うだけになってしまいがちです。

大事なことは、面接官に対してあなたの考えや経験をしっかり伝えることです。相手に内容をはっきり伝えるためには、はっきり・ゆっくりと、そして相手の目を見て話すことが大事です。

面接官の目を見て答える

上でも触れましたが、目を見て話すだけでも印象がだいぶ変わります。緊張したり、答えにくい質問だと、ついつい目を逸らしがちですが、常に目を見て話すことを意識してみてください。

面接時以外の挨拶や反応も大事

面接は会社内で行われることが多いですが、面接会場での質疑応答だけが大事だとは限りません。

担当者が来るまでのエントランスでの待ち時間やすれ違う他の社員への挨拶、面接日以外のメールへの対応など、面接時以外も常に見られている意識で望みましょう。

臨機応変に対応する

面接は単に質問と回答が繰り返されるだけではありません。回答の途中に「そのことについて詳しく教えてもらえますか?」などと聞かれたり、「最近、うちの業界で起きた〇〇のニュースはご存知ですか?」など、時事的な質問がされたりすることもあります。

ガチガチの回答を準備しているだけだと、予想していなかった質問に対応できないことも起こってしまいます。面接の質疑応答は、これまでのあなたの仕事の取り組みや人柄等を伝える場です。

そのことをベースに落とし込み、予想外の質問に対しては臨機応変に対応できるようにしておくと良いでしょう。反対に、完璧に用意していた回答通りに答えられなくても、その意図さえきちんと伝われば好印象を持ってもらえることもたくさんあります。

転職の面接でよくある質問一覧と回答例

それでは、実際に転職面接でよくある質問と、それに対する解説を交えながらご紹介していきます。よくある質問を先にまとめると、次の10種類となります。

  1. これまでの経歴を含めて自己紹介をお願いします
  2. 前職では具体的にどのような業務をしていましたか?
  3. これまでの実績や自己PRをお願いします
  4. 当社を志望した理由を教えてください。
  5. 転職しようと思った理由はなんですか?
  6. あなたの長所と短所を教えてください。
  7. 今後のキャリアプランや目標はありますか?
  8. 仕事をする上で大切にしていることはありますか?
  9. 他に受けている企業はありますか?
  10. 何か質問はありますか?

これまでの経歴を含めて自己紹介をお願いします

転職の面接では、最初に「経歴を含めての自己紹介」を求められることがほとんどです。自分のことを詳細に説明しつつも、自己アピールにも繋げられると良いです。

≪自己紹介で伝えること≫

  • 氏名
  • 出身校
  • 職歴や会社
  • 前職や一番長く就いた仕事の業務内容
  • 勤続年数

≪プラスアルファで伝えられると良いこと≫

  • 経歴から得られたスキルや経験・実績
  • この経歴をどのように会社に活かせるか

この質問では、経歴を中心に聞かれていますので、「我慢強い」「率先して動ける」などの性格面のアピールはそこまで重要視されていませんので、補足程度で良いでしょう。

また、中途採用の面接であれば、面接官は学生時代のエピソードよりも社会人での仕事の経験に関心がありますので、職歴を中心に伝えることを意識しましょう

前職では具体的にどのような業務をしていましたか?

面接では経歴だけではなく、前職の具体的な業務内容について聞かれることも多いです。実際にご自身が前職で行っていた業務内容を正直に答えれば問題ありません。

さらに、業務を行うにあたって、次のような自分なりの工夫や感想を添えて伝えられると好印象に繋がります。

  • どのような工夫や目標を持って作業をしていったのか?
  • 何が難しかったのか?
  • 前職の業務を転職先にどのように活かせるのか? など

これまでの実績や自己PRをお願いします。

業務内容だけではなく、面接で過去の実績を聞かれることも少なくありません。転職の面接であれば、数少ない自己アピールの場ですので、しっかり回答を準備しておくと良いでしょう。

実績を第三者に伝える場合には、具体的な数字を挙げることでより的確に伝わりやすいので、ぜひ数字に落とし込んでみてください。ただし、嘘をつくことはNGです。

自己PRの例

  • 私が担当して売上が前年度の1.5倍になった
  • 毎年5名以上いた離職者を1名にまで減らすことができた
  • 過去10年間の中で一番の営業実績を出した

このように、数字を出して伝えることでよりイメージが鮮明になります。

当社を志望した理由を教えてください。

志望動機はほとんどのケースで聞かれるでしょう。採用担当者は、数ある企業の中からどうして自社を選んだのかが気になります。

単に「条件が良いから」「やりたい仕事だから」「御社が社会貢献しているから」だけだと、志望動機として弱いと感じ取られるケースも出てきます。

面接を受ける会社のことをしっかりと調べた上で、自分が望むことと一致させることができれば、効果的な志望動機を伝えることができます。

  • 自分がしたいことを伝えて、それを会社で実現できる
  • 自分が望む働き方に会社が合っている
  • 今までの経歴の延長に転職先の仕事が関連している
  • 自分の目標としている働き方に転職先の仕事が関連している
  • 他の会社にはない大きな強み・違いに魅力を感じている

転職しようと思った理由はなんですか?

前職を退職した理由も聞かれることが多いです。 正直なところ「給料が低い」「労働時間が長い」「上司と性格が合わない」などのネガティブな理由で転職を決めた方も多いでしょう。

しかし、ネガティブな理由だけだと、前職の愚痴にもなりがちで、面接担当者から「うちの会社もすぐに辞めるのでは」という印象を与えてしまいます。

可能な限り面接では「前向きな転職理由」を伝えるようにしましょう。退職理由と志望動機を結びつけることができると、ネガティブな退職理由を前向きに変換できるようになります。

≪給料が低い場合≫

前職では給料が低く生活に余裕がなかったので、スキルを磨いて成果を出せるようになったら転職しようと考えておりました。御社では、成果に応じた歩合も多く設定されており、自分の頑張り次第で給与を上げていけることに魅力を感じたため、御社への転職を決意しました。

≪労働時間が長い場合≫

前職では毎月50時間以上の残業があり、月に2回ほどの休日出勤もありました。家族との時間が取れず転職を考えていたところ、同様の業務内容でライフワークバランスに重きをおいている御社の求人広告を拝見したため、転職することを決意しました。

また、人間関係に関する転職理由は、よっぽど酷いハラスメントを受けていない限りは、あまり話すべきではない転職理由と言えるでしょう。

あなたの長所と短所を教えてください。

長所と短所は、自分の理解度を問われる質問です。長所を伝える際には、長所と言える根拠やエピソードを添えて伝えることで説得力が増します。また、その長所を転職先の仕事にどう活かせるかを伝えられると良いでしょう。

短所の場合は、単に悪いところを伝えるだけでなく、どのようにフォローや克服をしてきたかまで伝えられるとマイナス印象でなく、プラス印象で話を終わらせることもできます。

≪長所の例≫

人当たりが良いとよく言われ、様々な世代の人と気兼ねなく話して意見することができます。前職では10代のアルバイトから40代のパートまでいる20名ほどのチームをまとめていました。みんなが気持ちよく働ける環境を作れたと自負しており、シフトにも協力的で他のチームへのヘルプなどにも行ってくれる人たちをまとめ上げることができました。もちろん、皆さんの協力あってこそのことですが、その結果、会社の売り上げや顧客満足にも繋げることができたと考えています。

≪短所の例≫

ひとつのことを長く続けることが苦手で、ある程度の成果を出した後には、数年ごとに部署異動をして違う仕事をさせてもらいました。その反面、新しい仕事や初対面の人に慣れることに抵抗がなく、短期間で適応できるようになったと思います。転職は初めてですが、新しい環境でも早く適応して活躍できる自信があります。また、新しい事業にどんどん挑戦していく御社の姿勢も、私のこのような性格に合っていると思い応募させていただきました。

今後のキャリアプランや目標はありますか?

本人の描く将来像が自社とマッチしているかを確認するためにも、キャリアプランや転職先での目標を聞かれることも多いです。特に、将来性や考え方などを重要視する最終面接で多い質問です。大事なことは、次の2点です。

  1. 自分が何をしたいのかをはっきりさせておくこと
  2. そのやりたいことが転職先で実現できるかをしっかり調べておくこと

例えば、「3年で〇〇のスキルを身につけたい」と伝えても、リサーチ不足であれば「今の弊社の業務では〇〇のスキルを上げられる仕事はできませんよ」などと失敗に終わってしまうこともあります。

仕事をする上で大切にしていることはありますか?

面接において「仕事をする上で大切にしていることはありますか?」という質問をされることも多くあります。これは、仕事に対する取り組み方や考え方を深掘りした質問となります。

この質問に対しての回答例は、次の通りです。

  • 職場の雰囲気・チームワーク・人間関係を良くすること
  • お客様に喜んでもらうこと
  • 成果を出すこと
  • 責任感・最後までやり遂げること
  • 効率的に働く・職場改善をすること

あなたに一番あった目的・動機を決めていただき、それに応じたエピソードを添えて伝えることができれば、良い印象を与えることができるでしょう。

他に受けている企業はありますか?

他に受けている企業の確認は、自社への入社意欲を確認するためによくされる質問の1つです。現代の転職活動では、複数社に同時に応募することも当たり前ですので、正直に答える分には問題ありません。

ただし、今の会社を最優先しているのであれば、第一志望である旨を伝えて、内定があった場合には入社する意思が強い事はしっかり伝えておきましょう。

何か質問はありますか?

面接の終わりの方には、これまでの不明点を確認するための質問をされることがほとんどです。いわゆる逆質問です。 主な逆質問の例については後述しますが、基本的には何かしらの質問内容を用意しておくようにしましょう。

「ありません」と答えると、面接を受けている会社に対して興味が薄いと受け取られることもあります。また、逆質問する際には、次の2つの質問をしてしまわないように気をつけてください。

  • 説明があった部分を再度質問する
  • 調べれば分かる部分を質問する

逆質問の際に調べれば分かることを聞いてしまい、マイナス印象を与えないためにも、事前に会社のことを調べておくことをおすすめします。

転職の面接で質問しておくべきこと

転職面接では、「最後に何か質問はありますか?」と逆質問をされることが多くあります。「ありません」と答えるだけだと、会社に対しての興味が薄いと感じられるため、何かしらの質問を用意しておくと良いでしょう。

もちろん、それまでの面接のやり取りが盛り上がって、根掘り葉掘り聞くことができれば、質問が不要なケースもあります。上でもお伝えしたように、まずは自分で会社のことを調べてみて、その中で気になることはしっかり質問して終わるようにしましょう。

どのような業務に取り組むか

求人票や会社のホームページで公表されている業務内容だけでは、具体的にどのような仕事をするのかが分からないケースも少なくありません。

入社後にイメージしていた仕事とギャップを感じてすぐに離職してしまわないためにも、入社前に詳しく聞いておいた方が良いでしょう。会社としても、業務内容に関心を持ってくれている人は、入社意欲が高いと好印象に移ります。

残業時間や休日について

特に長時間労働などで転職を決意した方は、労働時間や休日出勤の有無など詳しく知りたい方も多いでしょう。求人票や企業の口コミなどでもおおよその情報は入手できますが、現場の人からの意見がいちばん参考になります

直接労働条件を質問することに抵抗がある方は、「18時には子供を迎えに行きたいので…」「前職では長時間労働が問題にもなっていましたので…」など、理由を添えて質問すると、抵抗感も薄れます。

給料や評価基準について

給料や評価基準も事前にある程度調べられる情報ではありますが、やはり現役社員に直接聞ければリアルな情報を入手できます。お金のことを聞く人は、「お金のことばかり」とマイナス印象に映るかというと、そのようなことはありません。

会社としても、従業員により意欲的に働いてもらいたいからこそ、評価基準や歩合などを設けています。なので、給与や評価制度について詳しく聞くということは、頑張って結果を出す意欲があるとも受け取れます

会社の利益の出し方やビジョンなどについて

社長や役員などが面接官になることも多い最終面接では、上記のような業務的な話よりも将来の話や考え方の話が好まれる傾向があります。

まずはご自身で、これまでの会社の歴史や経営理念、地域や業界への貢献度、経営状況などを調べて、その中で「なぜ?」と思った部分を素直に聞くと良いでしょう。

会社の経営陣にそのような内容を直接聞けるのであれば、非常に有益な時間にもなりますし、このような深い部分を突いた質問ができれば、会社にとても興味を持っていると好印象に映るケースが多いです。

まとめ

転職面接では、求職者の経歴や性格、考え方などを確認・判断する機会ですので、どうしてもよくある質問に収束していきやすくなっています。

今回ご紹介した質問内容を中心に、ご自身の状況や考え方に合わせて答えを用意していただければ、面接時に答えられずに困るようなことも減らしていけるでしょう。

ただし、面接は面接官と求職者のコミュニケーションの場でもあります。一方的に事前準備した回答を言えば良いのではなく、しっかりとあなたの考えを伝える気持ち・話し方も大事になります。

一発勝負が心配な方は、知人や転職エージェントなどにお願いして、事前の面接対策を練習しておくと良いでしょう。