今回の記事では不倫(不貞行為を含む)について、発覚した際の対処法の1つである「誓約書」に焦点を当てて解説します。不倫のもつれを速やかに解決する方法ですので、ぜひご一読ください。 (今回の記事では、不貞行為にこだわらず不倫全般における誓約書として解説します。)
不倫の誓約書とは
不貞行為を含む不倫が発覚した場合、離婚に向けて準備を開始する方もいれば、今回だけは穏便に解決をしたい、と考える方もいるでしょう。夫婦は男女でありながら、時には子どもにとっての両親であり、不倫の解決方法も離婚ではなく関係の修復を選択するケースもあります。
不倫があった事実を認め、口約束の謝罪だけで終わらせないためには「誓約書を残す」という方法があります。不倫の事実や二度と会わないこと、などを約束してもらうための書面です。慰謝料を求める場合にはその金額、再び会ったことが判明した際のペナルティ等も書くことが可能です。
誓約書の効力
では、不倫の誓約書にはどのような効力があるでしょうか。誓約書は書かれた内容に不倫の当事者が合意をすれば、万が一の際に訴訟の資料として使うことができます。
例えば、支払われるべき慰謝料が支払われない場合には、不倫をされた側は誓約書を証拠に訴訟提起が可能です。また、誓約書には約束をさせたことが守られなかった時にペナルティを科す効力もあります。
例として、二度と会わない・連絡を取らないと誓約書内に記したにも関わらず、電話やメールのやり取りが後日判明した場合には、追加で慰謝料の請求をするために誓約書を証拠にすることができます。
誓約書と示談書の違い
不倫の解決方法の中には示談書を交わす方法もあります。では、誓約書と示談書はどう違うのでしょうか。この2つは似ているようで異なります。
誓約書とは…誓約書とは不倫をした当事者が反省の意を示し、二度と会わないことなどを約束する書面です。謝罪文や念書と同等です。
示談書とは…示談書とは当事者間で色んな取り決めを行い、合意をする書面です。例えば不倫における示談書の場合、一方は不倫に謝罪し慰謝料を支払うことに合意し、もう一方の方は今後慰謝料の追加請求をしないこと等が書かれています。
不倫をしてしまった方はしっかり謝罪する代わりに、示談成立後は慰謝料の追加請求を受けたくない、と考えるのではないでしょうか。誓約書ではなく示談書によってなら、不倫してしまった方が今後は相手方から接触させないことを求めることが可能です。
不倫の誓約書を作るメリットとは
不倫の解決のために誓約書を作るメリットとは以下のとおりです。
不倫相手との関係を断つ
不倫の誓約書は不倫を行った配偶者に書かせることも、不倫相手に書かせることもできます。
ただの謝罪ではなくしっかりと書面に残し、再度の連絡や密会を防ぐことを約束させれば、不倫相手との関係を絶たせる効果があります。
つらい思いをもう2度としないためにも、以下のような内容を加味しておくと良いでしょう。
- 携帯電話から電話番号やメールアドレス、LINEなど、不倫相手の連絡先を抹消する
- 接触しないこと(連絡・密会)を約束させる
- 音声や写真など思い出となるようなものを破棄させる
特に再度連絡を取ったことが判明したらペナルティ(損害賠償金)を科すと約束させることで、再会を防ぐ効果が高まります。
不貞行為の証拠になる
不倫誓約書の中で不貞行為の事実をしっかりと認めさせれば、離婚の際の証拠にも活用できます。不貞行為は離婚事由に該当しますが、不貞行為は肉体関係があったことを証明する必要があります。
写真やメールなどの証拠はなくても、肉体関係があったことを当事者自身が認め、誓約書に同意をしていれば離婚調停や訴訟時にも効力のある証拠となります。将来に備えて有効な証拠を残しておきましょう。
不倫誓約書の書き方
不倫誓約書を実際に作成する場合にはどのように書けばよいでしょうか。書き方のコツは以下の3つを押さえておきましょう。
1. 不倫をした事実を明確にすること
冒頭に触れたように、不倫とは言ってもデートを繰り返していただけなのか、肉体関係を繰り返していたのかによって大きく異なります。
不倫をした事実を単純に認めさせるのではなく、いつ、どこで、どのような内容で会っていたのかなど明確に書くことが重要です。
特に肉体関係の有無は慰謝料請求を大きく左右する出来事なので、実際に関係があった場合には誓約書内で認めてもらうことが重要です。
2. 慰謝料の金額や支払期日等を明確にすること
誓約書を書く際には、慰謝料を求めることができます。その際には金額を明確に書きましょう。
お金を払う旨を約束させるだけではなく、いつまでにいくら支払うのかはっきり記しましょう。支払い方法についても一括か分割か、持参するのか口座振り込みなのかなどもクリアにしておきましょう。
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3. 再発防止策を入れること
不倫関係を解消させ、夫婦として再出発をする場合には特に「再発防止」の内容も配慮をしましょう。再発防止を誓わせることで、不倫を行った当事者にプレッシャーを与えることができます。
不倫誓約書を書いてもらう時の注意点
不倫誓約書を完成させる際には以下のような注意点もあります。
内容をよく理解してもらう
誓約書を作る際にはただ謝罪させて用意した書類に署名・押印を取るのではなく、記載された内容を一つひとつ理解してもらった上で作成を終えることが重要です。「そんなこと聞いていなかった」というトラブルを防ぐためにも相互理解を欠かさないようにしましょう。
適切に署名・押印してもらう
なりすましを行って署名・押印をしてはいけません。あくまでも相互理解、納得の上で誓約書を取得することが重要です。無理矢理取得しようとすると別のトラブルとなる可能性があるので注意しましょう。
必要であれば公正証書にする
法的な効力がある誓約書にしたい場合には、公正証書に仕上げるという方法もあります。公正証書はその性質上、不倫関係の解消に役立つのではなくお金の支払いに関する部分で効果があります。
慰謝料請求に関して誓約書上に記す場合には、支払いをしっかり履行させるために公正証書化を検討しましょう。なお、公正証書にする場合には公証役場に支払う費用が必要です。
公序良俗に反する事は書かない
不倫は許しがたい行為ですが、公序良俗に反するような内容書いてしまうと民法上無効とされてしまいます。次に不倫をしたら髪を剃る、一生逆らわないように約束させる、土下座を要求する、などいき過ぎた行為は書けません。
脅して無理やり書かせない
脅して無理矢理誓約書を書かせる行為は「脅迫であり犯罪」です。あまりに強く迫ると警察に通報されるなど、別のトラブルとなる可能性があります。
「親に言うぞ」「子どもにバラすぞ」などと無理に迫ってしまうと、強迫によって無理矢理誓約書を書かされ、無効であると主張される可能性もあります。穏便に誓約書を作成することも重要なのです。
不倫誓約書へのサインを相手に拒否されたらどうする?
もしも不倫誓約書の作成を求めているにもかかわらず、強く拒否をされたらどうするべきでしょうか。注意点にも触れたように、たとえ不倫が事実であっても脅迫をして書かせることは禁物です。
拒否をされた場合には冷静にまずは弁護士に相談し、不倫の解決を当事者だけではなく法律のプロも交えて解決を模索することがおすすめです。
まとめ
この記事では不倫の解決方法である「誓約書」について、書き方や注意点をご紹介しました。誓約書を作りたい方、あるいは記入するように求められた方でも、本当にこの内容で作成して良いのか不安に感じるのではないでしょうか。
特にお金に関する文言を加える場合には、慰謝料の金額の相場や支払期日などを確認し、無効とならない誓約書作りが重要です。誓約書作成に際して不安がある場合には、法律家である弁護士に相談をしましょう。