足場に乗って塗装作業をする職人

外壁塗装の見積もりを確認した際に「足場代はもっと安くできない?」、「そもそも足場って必要?」などの疑問を持つ方は少なくありません。初めて外壁塗装を施工する方の多くは、見積もりにある「足場代」への馴染みがないためです。

では、足場は本当に必要なのでしょうか?結論から言うと、足場は高品質な外壁塗装を行うために必要不可欠で、基本的に削ることはできません。

外壁塗装業者の中には足場代を無料と謳っている業者もありますが、そういった業者は他で利益を取っている可能性が高く、トラブルになるケースも多いです。

トラブルを防ぐためにも、この記事で紹介している外壁塗装における足場の必要性や費用相場、よくあるトラブルについて理解しておくようにしてください。

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外壁塗装で設置する足場代の費用相場

外壁塗装で足場にかかる費用は、飛散防止ネットの値段も含めて1平方メートルあたり「600〜1,000円」が相場になります。つまり、一般的な30坪程度の一戸建て住宅の場合に、外壁すべてを塗装する際にかかる足場代は15万円程度です。

ただし、この値段はあくまでも目安で、家とアパート、3階建て、隣の家との間隔が狭いなど、立地条件や建物の種類によって費用は異なります。このため、詳細な費用を知りたい場合は、外壁塗装業者に見積もりを依頼するようにしてください。

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足場を組み立てるのにかかる時間

足場を組み立てるのにかかる時間は、その建物の規模や種類によります。例えば、30〜40坪程度の戸建て住宅で足場を組み立てるのにかかる時間は「約1日(6〜8時間程度)」です。

ただし、依頼する業者や天候、立地条件によっては1日で終わらないケースもあります。なお、足場解体にかかる時間は半日(3〜6時間)程度で作業が終わることがほとんどです。

外壁塗装における足場の必要性

外壁塗装をするためには、足場の設置が必要不可欠です。では、具体的にどういった観点で足場が必要なのかをご説明します。

【安全性】足場なしで外壁塗装はできない

外壁塗装で足場が必要な理由の一つが安全性の確保です。足元が不安定だと作業に必要な道具を置くことができず、注意していても物が落下してしまう可能性があります。また、作業を行う職人自身も落下する危険性があるため、作業にも集中できません。

2メートル以上の高所で作業する場合には、足場の組み立てが労働安全衛生法で義務づけてられていることからも、外壁塗装での足場の設置は必要不可欠だと言えます。(参照:墜落・転落災害の防止のため安全衛生規則(抜粋)PDF

【品質】家の隅々まで塗装するため

外壁塗装工事の品質を高めるためにも足場は欠かせません。はしごや脚立では家の外壁を隅々まで塗装できない可能性が高いためです。足場が不安定だと作業に集中できず、腕の良い職人でも塗りムラや塗り残しなどが発生します。

最悪のケースでは、塗装に時間がかかってしまい、決められた工期で仕事を終わらすために作業が雑にになってしまうことも考えられます。質の高い外壁塗装を行うためにも、足場の組み立てを省いたりしないようにしましょう。

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【トラブル防止】塗料などが飛散しないように

足場を組み立てて塗装作業をしないと、塗料が飛散して近隣の方とトラブルになる可能性があります。当然ですが、足場がないと「塗料の飛散防止ネット」を設置できません。隣家とのトラブルを防ぐためにも足場は設置するようにしましょう。

外壁塗装の足場の種類

外壁塗装で組み立てる足場には、「くさび足場」と「単管足場」の2種類があります。外壁塗装の依頼を検討している方は、それぞれの特徴の違いを理解しておきましょう。

くさび足場

くさび足場とは、別名「ビケ足場」とも呼ばれており、外壁塗装で使用されることが多い足場になります。外壁塗装で多く使用されている理由は、以下のメリットがあるためです。

  • 作業がしやすい
  • 安全性が高い
  • 設置工期が短い

ただし、場所によっては設置できないケースもあるため、物件の立地条件によっては他の足場を使用する必要があります。なお、くさび足場の費用相場は1平方メートル「800〜1,000円」です。

単管足場

単管足場は鉄パイプを組み合わせた足場で、2本のパイプに乗って作業を行うタイプの足場です。単管足場には、以下のメリットがあります。

  • 1平方メートル「600〜800円」が費用相場で、くさび足場よりも値段が安い
  • 狭い場所にも設置できる
  • 建物形状に関係なく設置できる

ただし、上記のメリットがある一方で、デメリットもあります。

  • 2本のパイプの上に乗って作業するため、非常に不安定で安全性が低い
  • 作業に必要な塗料缶などを足場の上に置くことができないため常に片手が塞がった状態になってしまう

くさび足場よりも安全性が低いため「くさび足場が設置できない建物」の外壁塗装に使用されることが多いです。

隣家との幅が狭い場合の足場設置

隣家との幅が狭い家に住んでいる方の中には、「足場が設置できるのか?」という疑問を持っている方がいます。ここでは、隣家との幅が狭い場合の足場設置について解説していきます。

足場の設置に必要な幅

足場設置に必要な幅の目安は「人が入れる幅」です。具体的には「50cm程度の幅」があれば足場は設置できます。一方、50cm未満のスペースがない場合は、足場を設置する以外の方法で外壁塗装を実施しなければなりません。

また、隣家とのスペースが狭く、人がまったく入れない場合は、外壁塗装を行うことすら難しいです。とはいえ、隣家とのスペースがほとんどない場合は、そもそも外壁が雨や紫外線にあまり当たっていないため、劣化が少なく塗装自体が必要ないケースもあります。

【関連】外壁塗装が必要ない家とは|外壁塗装しないとどうなる?

隣家のスペースを借りて足場を組む場合

外壁塗装を検討している家と隣家の敷地の間隔が狭く、自分の敷地内では足場が組めない場合は、隣家のスペースを借りて足場を組むケースがあります。当然ですが、その場合は隣家に敷地の利用を承諾してもらわなければなりません。

普通にご近所付き合いをしている場合は、外壁塗装時に敷地の利用を申し出ても承諾してくれるケースがほとんどです。しかし、隣家と仲が悪い場合は、承諾してもらえずに外壁塗装ができない可能性もあります。

そのような場合には、民法第209条に記載されている以下の条文を根拠に、敷地の使用許可を請求することになります。

土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。

引用元:民法第209条 – Wikibooks

相手が頑なに拒否をする場合には、裁判を行い、勝訴できないと外壁塗装が施工できないことを理解しておきましょう。

足場を組めない場合は無足場工法による施行

足場を組めない場合には、屋上からロープブランコという台を吊るして外壁塗装を行う無足場工法がおすすめです。

ただし、作業時間がかかるうえに高度な技術が求められるため、費用が高くなるといった欠点もあります。したがって、どうしても足場が組めない場合に検討するようにしましょう。

外壁塗装の足場に関するよくあるトラブル

外壁塗装で足場に関するトラブルに巻き込まれたという方は少なくありません。このため、過去にどのようなトラブルが起きたのか知っておくことが重要です。ここでは、外壁塗装の外壁塗装の足場に関するよくあるトラブルを2つご紹介します。

足場代無料を謳う業者とのトラブル

足場代無料を謳う業者はトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要になります。外壁塗装で足場設置にかかる費用を別の見積もりに上乗せしている可能性が高いためです。

また、安全な足場ではなく法律違反の簡易な足場を使用して施工する業者もおり、そのような業者の場合は適切な外壁塗装がされない可能性もあります。このため、足場が無料という理由で安易に工事を依頼しないようにしましょう。

【関連】外壁塗装の見積もり時の注意点や見積書で確認すべき項目

家や車の破損

足場の組み立てや解体時に、家の外壁や車、隣の家を破損させてトラブルになるケースも多いです。破損が生じた場合、足場業者と塗装業者が責任を押し付け合い、解決までに時間がかかってしまうケースも少なくありません。

最悪のケースでは、どちらの業者も責任を取ってくれずに泣き寝入りすることになった事例もあります。このような事態を避けるためにも、足場業者が保険に加入しているのかを確認するようにしましょう。保険に加入している場合は足場業者が補償してくれるため、安心して任せることができます。

まとめ

外壁塗装の足場代は高いと感じるかもしれませんが、高品質な外壁塗装を行うためには必要不可欠です。

足場や飛散防止シートがない状態で外壁塗装を施工すると、トラブルや事故にも繋がりかねません。適切な外壁塗装を行うためにも足場の必要性や足場代の相場について、正しく理解しておきましょう。

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