林 孝匡 弁護士 | 所属:PLeX法律事務所(大阪弁護士会No.43736) |
2010年弁護士登録、PLeX法律事務所を設立。モットーは「ムズイ法律を、おもしろく」 |
浮気が発覚しても、相手のLINEアカウントや名前しかわからないというケースも珍しくないでしょう。
先にお伝えすると、浮気相手に慰謝料請求を考えている場合には、浮気相手の氏名と住所がわからないと慰謝料請求をすることが難しくなります。
こちらの記事では、浮気相手のLINEアカウントや名前以外の情報の取得方法や、本名・氏名を知っておく重要性についてご説明します。
浮気相手のLINEや名前しかわからない時の対処法
浮気相手のLINEアカウントや名前しかわからない時には、基本的に次の3つの方法から特定することになります。
- 自分で配偶者に聞く
- 弁護士に依頼して弁護士会照会を使って調べる
- 探偵に依頼して調査してもらう
浮気相手などの普段関わることが無い他人の情報を入手したい場合には、関係者に聞く以外に自分で調べることが難しいため、基本的には探偵や弁護士などの専門家に相談しないと相手の情報を知ることができません。
配偶者に直接聞く
浮気相手の情報を知るには、浮気している配偶者に直接聞くことが一番手っ取り早いです。
ただし、配偶者に浮気相手の情報を直接聞く際には、配偶者が浮気をしていることを認めた後に行いましょう。
いきなり浮気相手のことを聞いても、まず浮気の否定からされてしまう可能性も高いです。
浮気の拒否をされないためには、先に浮気の証拠をしっかり揃えた上で聞くことが大事です。
また、浮気相手のことを庇って教えてくれないケースもありますので注意しましょう。
弁護士照会制度を利用する
浮気をされて慰謝料請求を考えている場合には、弁護士に相談される方も多いでしょう。
弁護士に依頼すれば『弁護士会照会制度』を使うことで浮気相手の氏名や住所を割り出せる可能性があります。
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。
弁護士照会制度は、各企業や団体に必要な情報を求めることができる、弁護士だけに認められた情報収集の手段です。
例えば、電話番号から相手の住所を特定したり、LINE IDから電話番号を割り出すことができる可能性があります。
また、「配偶者と浮気相手がそのホテルに泊まったかどうかをホテルに照会する」という方法もあります。
弁護士に依頼すると浮気相手の情報がわかるだけでなく、高額な慰謝料請求が認められたり、拒否する相手とも自分の代わりに交渉してくれます。
浮気の慰謝料請求を考えている方は弁護士への依頼も検討してみてください。
探偵の浮気調査で特定する
探偵には浮気調査を依頼することができます。
主な調査目的は浮気の有無の確認や証拠を集めることですが、希望があれば浮気相手の身元調査も行ってくれます(別料金になる場合があります)。
一般的に探偵の調査費用は日数・時間・人員に比例して増えていきます。なので、浮気相手と接触する日時を突き止めて、その日ピンポイントで依頼することで費用を抑えることができます。
浮気の慰謝料を請求する場合、客観的に見て浮気があったと証明できる証拠が必要です。
慰謝料を請求するつもりだけど証拠がない、という方はまず探偵への相談を検討されてください。
【状況別】浮気相手のことがわからない時の特定方法
浮気相手の情報をどこまで知っているかは、いくつかのパターンがあります。
こちらでは、状況別の浮気相手の特定方法についてご紹介します。
なお、ここでご説明する主な内容は、弁護士に依頼した場合に弁護士照会制度を利用できるかどうかのご説明です。
個人で浮気相手の情報を知る方法としては、配偶者に聞く以外は困難であることは認識しておきましょう。
名前しかわからないケース
弁護士会照会制度の利用は、最低でも電話番号がわからないと利用ができません。
名前だけの情報では、弁護士会照会制度を使っても住所や電話番号の情報まで集めることが困難です。
電話番号や住所を把握するためにも、先に配偶者に聞くか探偵に調べてもらう必要があります。
LINEしかわからないケース
浮気相手のLINEしかわからないケースでは、弁護士会照会制度を使ってLINE株式会社に問い合わせを行い、LINE IDから電話番号を特定できる可能性があります。
ただし、弁護士会照会制度を利用しても、LINE側が回答を拒否する可能性もあるため、必ず浮気相手の情報を得られるとは限りません。
仮に被害者がLINE IDを把握できていたとしても,LINE社は弁護士法23条の2に基づく照会に対し,回答を拒否する傾向にあるため,弁護士による調査によっても発信者情報を把握できないこととなる。
引用元:埼玉弁護士会
もしLINE IDから電話番号が特定できた場合は、今度は電話会社に対して弁護士会照会を使い、住所まで調べていくことも可能です。
電話番号しかわからないケース
上でも触れましたが、電話番号がわかっていれば電話会社に弁護士会照会を使って住所を特定できる可能性があります。
配偶者も、浮気相手の住所までは知らなくても電話番号くらいは知っていることも多いでしょうから、直接聞いてみることで浮気相手の情報を知れる第一歩になることもあるでしょう。
浮気相手の名前やLINEしかわからない場合のデメリット
そもそも、浮気相手の情報が不足しているとどのような問題点があるのでしょうか?
こちらでは、浮気相手の名前やLINEしかわからない場合のデメリットについてまとめました。
慰謝料請求が難しくなる
上でも触れましたが、浮気相手の情報が不足していれば、慰謝料請求が難しくなることがあります。
浮気の慰謝料請求は、基本的に書面で行うか裁判や調停を申し立てます。浮気相手の住所がわからなければ、慰謝料請求の文書を送ろうとしても送り先がわかりません。
裁判に申し立てる際にも、被告の住所を記入しないと申し立てられないので、裁判を始めることも困難です。
浮気相手の慰謝料請求をしたい場合には、何とかして浮気相手の住所まで知っておく必要があります。
浮気をうやむやにされる
浮気相手の名前やLINEしか情報がわかっていないと、そもそも本当に浮気しているかも証明できないことが多いです。
結果として、配偶者や浮気相手に浮気を問いただしても、「浮気していない」と言い逃れされてしまう可能性が高いです。
浮気を問い詰めるという点でも名前やLINEしかわからない状況では、情報が不足していますので、まずはしっかり浮気調査をして証拠を確保しておくことをおすすめします。
浮気相手の身元がわからない時のよくある質問
最後に、浮気相手の名前やLINEしかわからない場合によく出てくる疑問についてお答えします。
浮気相手の名前しかわからない場合、時効はどうなる?
浮気の慰謝料請求には、「請求相手を知った時から3年」の時効があります。
第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
二 不法行為の時から20年間行使しないとき。
ここでの「知った時から」とは、請求可能な状態にあることが前提ですので、最低でも請求相手の住所を知った時から起算されます。
つまり、浮気相手の住所がわからない場合には、民法第724条の1項の時効はいつまでも開始されないことになります。※2項の「不法行為の時から20年間」の時効は起算されていますので注意してください。
浮気相手の名前を調べる方法は?
浮気相手の連絡先での登録名がニックネームや偽名になっていて、浮気相手の本名がわからないケースもあるでしょう。
電話番号や住所がわかっていても本名がわからない場合にも、ここまでお伝えした3つの方法で調べることが基本です。
- 配偶者に直接聞く
- 弁護士会照会制度を利用する
- 探偵に調査してもらう
今ある浮気の証拠や慰謝料請求をしたいと思う気持ちなどに応じて、どの方法で調べていくかを決めていってください。
慰謝料請求したい気持ちが強いようであれば、費用はかかりますが、弁護士や探偵に依頼した方が確実です。
浮気相手の身元調査にかかる費用は?
浮気相手の情報が不足している場合、探偵に身元調査をして、氏名や住所などを調べてきてもらうことも可能です。
ターゲットの氏名・住所を調べるだけの調査であれば、10〜20万円程度の費用で受けている探偵が多いようです。浮気調査の費用相場は50万円前後ですので、浮気調査するよりは安いとお考えください。
また、浮気調査の中で希望を出して浮気相手の氏名・住所まで調べてきてもらう方法もあります。
探偵事務所によっても金額や料金体系が違いますので、具体的な金額や調べてきてもらえる内容については、直接探偵に相談してみることをおすすめします。
まとめ
浮気相手の名前やLINEしかわからない場合には、慰謝料請求が難しくなります。
浮気相手に慰謝料請求を行うためには、相手に請求書や訴状を送る必要がありますが、住所がわからないことにはこれらの書類を送ることができません。
浮気相手の情報を調べるためには、次の方法があります。
- 配偶者に直接聞く
- 弁護士に依頼して弁護士会照会を使って調べてもらう
- 探偵に依頼して調べてもらう
①以外は費用がかかってしまいますが、慰謝料請求のサポートをしてくれたり、浮気の証拠を集めてくれたりもします。
浮気問題でお困りの方は、探偵や弁護士にも相談しながら最善の方法を取っていきましょう。