新卒1年目から会社や仕事が嫌になり、転職を考える人も少なくないでしょう。転職したいと思っている反面、新卒1年目の転職では、デメリットも多くてなかなか実行できない人も多いです。
こちらの記事では、新卒1年目の転職が厳しいと言われている理由や転職を成功させるためのポイントについてご紹介します。確かに新卒1年目の転職では、マイナスな部分も多くあります。
しかし、入社してすぐに「この会社ではダメだ」と思ったまま働き続けることも、時間を無駄に消費してしまいます。今後の社会人生活のためにも、新卒1年目の転職についてきちんと理解しておきましょう。
新卒1年目の転職は厳しいのか
冒頭でも簡単に触れたように、新卒1年目での転職は、マイナスに思われる部分があります。主な理由として次の2つがありますが、採用担当者の気持ちになってみると、「確かに」と理解できるかと思います。
転職先でもすぐに辞めると思われる
新卒1年目で転職するという事は「会社勤めが1年も続かなかった」ということになります。どのような退職理由であれ、第一印象で「うちの会社もすぐに辞めるのでは」と、マイナス印象からスタートすることは避けられません。
特に退職理由が曖昧であれば、なおさら採用される可能性が下がります。新卒1年目で転職をする場合には、1年目から転職するだけの強い理由を用意しておかないと厳しいでしょう。1年目の転職でも、転職先から受け入れられやすい退職理由については、後の項目でご紹介します。
実質未経験なので経験者か来年の新卒を採用した方が良い
新卒1年目は、仕事ができるようになっている状態とも言えず、多くの会社で必要とされているビジネスマナーもまだ身についていないことも多いため、転職先でも一から教育し直さなくてはなりません。
そのような人で、なおかつすぐ辞めるかもしれない人材を採用するくらいなら、即戦力の経験者や来年まで新卒を待って採用した方がリスクも低いと考えるのが、採用担当者の本音です。
新卒1年目で転職を考えている方は、せめて最低限のビジネスマナーや会社の成り立ちなどを理解した上で企業に応募することで、採用される確率を上げることができるでしょう。
第二新卒としての需要はある
このようにあまり印象が良くない新卒1年目での転職ですが、第二新卒は転職市場でも需要があります。第二新卒とは、新卒から3年目以内の転職希望者のことで、将来性を期待して積極的に採用する会社も多いです。
第二新卒の人気がある理由は、基本的なビジネスマナーができていることです。ですので、新卒1年目の方でも、すでにビジネスマナーはできていて、入社後すぐに戦力として活躍できるというアピールができるのであれば、採用の可能性は上がるでしょう。
まだまだ基礎的なビジネスマナーや仕事の経験ができていないのであれば、2年目以降の転職を考えた方が良いケースもあります。
新卒1年で会社を辞める人の割合
実際に新卒1年目で会社を辞める人は、どれくらいの割合いるのでしょうか?厚生労働省によると、新卒1年目での離職率は次のようになりました。
最終学歴 | 離職率 |
---|---|
中学卒 | 35.8% |
高校卒 | 16.9% |
短大卒 | 17.9% |
大学卒 | 11.6% |
また、3年以内の離職率は、次のようになり、新卒1年目と比較して3倍ほどになっています。
最終学歴 | 離職率 |
---|---|
中学卒 | 55.0% |
高校卒 | 36.9% |
短大卒 | 41.4% |
大学卒 | 31.2% |
新卒から3年以内の離職率になると3人に1人は退職している事実があるため、新卒1年目で転職を考えている方は、焦り過ぎずに3年目以内の転職を目指してみても良いかもしれませんね。
新卒1年目でも転職した方が良いケース
ここまで、新卒1年目の転職は「厳しい」「3年目まで待ってみても良い」というようなニュアンスでご説明しましたが、新卒1年目であっても転職をした方が良い状況の方もいます。
新卒1年目の転職では「明確な退職理由」が必要だとお伝えしましたが、次の状況に当てはまる方は、退職するだけの明確な理由があるとも言えます。転職先の採用担当者に事情を理解してもらえれば、転職時に不利になる原因を減らすことができます。
ブラック企業に入社してしまった
新卒は会社の良し悪しがわからず、労働条件や仕事内容などが良くない会社に入社してしまうこともあります。いわゆるブラック企業です。 ブラック企業の特徴として次の内容が挙げられます。
- 他社と比べて給料が著しく低い
- 長時間労働が続く(目安として45時間以上の残業が毎月続く)
- 残業をしても残業代が払われない
- パワハラやセクハラが横行している
- 他の従業員もすぐに辞めて離職率が高い
このような会社に働き続けても、時間と体力を奪われるだけで、良い事は起きません。退職する会社のどの部分がブラック企業かを明確にして、きちんと退職理由にできる方は転職準備をしていっても良い人だと考えられます。
職場でハラスメントがある
上記のブラック企業の特徴にも挙げましたが、パワハラやセクハラなどのハラスメント行為が横行しており、改善の兆しが見えない会社も退職を考えるべき人でしょう。
あなた自身がハラスメントを受けていなかったとしても、社内でハラスメントが発生しており、周囲の人たちが見て見ぬふりをしているようであれば、良い会社とは言えません。また、いつかあなたが被害者になるかもしれません。
パワハラやセクハラ行為の主な内容として次の内容が挙げられます。
≪主なパワハラ行為≫
- 暴力
- 怒鳴られる、机を叩くなど大きな音を出して脅す
- 「使えない」「仕事辞めろ」などの暴言を受ける
- 挨拶をしても無視をされる
- 達成不可能なノルマを課せられる
≪主なセクハラ行為≫
- 体を触られる
- 卑猥な雑誌やポスター等が職場に置かれている
- 恋人の有無や休日の予定などプライベートなことを聞かれる
- セクハラを拒んだことで配置転換をされた
程度や頻度にもよりますが、たとえ軽度のものでも本人が嫌だと感じることが続く場合は、ハラスメントに該当する可能性が考えられます。
厚生労働省のサイトでも診断できますので、当てはまりそうな方は参考にしてみてください。
目指すキャリアプランと乖離がある
今の会社で働き続けても、自分が目指すキャリアプランを実現できない場合は、早期に転職した方が良いケースもあります。
例えば「将来は経理の仕事をやりたいのに全く関係ない仕事をしている」「マーケター志望だったのに営業の部署に配置された」などです。
ただ、1年目から仕事の全ては分からないので、先輩や上司に自分が考えているキャリアプランや今の仕事で得られるスキルについて相談してみても良いでしょう。
新卒1年目の転職を成功させるには
新卒1年目の転職は不採用になりやすい理由もあり、転職を成功させることは簡単ではありません。こちらでは、新卒1年目が転職を成功させるためのポイントについてご紹介します。
転職理由は前向きな理由にする
何度かお伝えしているように、新卒1年目での転職は「すぐに辞められるかも」と、ネガティブなイメージからスタートします。その悪い印象を打破するためには、転職するだけの強い転職理由を用意しておくと良いでしょう。
そして、基本的に転職理由は前向きな内容にすることをおすすめします。 具体的な転職理由の例は、後述する「おすすめの転職理由はある?」でご紹介します。
できれば在職中に転職活動をする
新卒1年目の転職では特に、在職中(辞める前)に同時進行で転職活動をする事をおすすめします。新卒1年目の転職は厳しいことが事実ですので、万が一うまくいかない時の保険を作っておくのです。退職した後に転職先が決まらなければ、しばらくの間、フリーター生活になる可能性もあります。
正社員として働いた期間よりもフリーターで生活していた期間が長くなってしまうと、どんどん正社員として採用される可能性も低くなってしまし、いつまでもフリーターから抜け出せない事態にもなってしまいます。
面接や書類選考対策をしっかりする
中途採用でも面接や書類選考などの対策をきちんとやっておかなくてはなりません。特に中途採用になると、志望動機よりも前職を退職した理由を詳しく聞かれることが多いです。
ここまでお伝えしたように、特に新卒1年目の転職ではなおさら詳しく聞かれることでしょう。今までとは違った観点での対応も必要になるため、魅力的な自己PRがわからなければ転職エージェントの利用もおすすめです。
転職候補先の口コミなどを調べる
新卒1社目の会社選びを間違ってしまった大きな要因が、就職する会社のリサーチ不足もあったのではないでしょうか? 特に労働時間の長さや給料の低さなどは、調べれば事前に知れていた可能性も高いです。
現在では、実際に働いていた人がその会社の評判を書き込むことができる口コミサイトもあります。これらのサイトを参考にしながら、2社目の転職で後悔しないように、慎重にリサーチしておきましょう。
新卒1年目の転職でよくある質問
最後に、新卒1年目で転職しようとしている方が、よく疑問に思う内容にお答えします。
「新卒なら1年は続ける」は本当?
新卒で退職しようとすると、「新卒なら1年は続けろ」などと言われたことはなかったでしょうか?このように言われることには理由もあり、確かに1年は続けた方が良いことも多いです。
新卒でも1年は続けた方が良い理由は次のものがあります。
新卒が会社を1年は続けた方が良い理由
- 1年未満で辞めると転職先に悪い印象を持たれる
- 1年もすれば仕事や人間関係に慣れる
- 冬や来年夏のボーナスから満額もらえるのでモチベーションが上がる
- 毎年4月が転職に向いている時期なのでそこまで待つと良い
ブラック企業で働いている方は1年も待っている余裕はないでしょうが、1年だけでも頑張って働いてみることで考え方が変わったり、第二新卒として転職できるチャンスも広がってきたりすることもあります。
転職しやすい時期はある?
1年の中で一番転職しやすい時期は、4月から働き始めることに備える「1〜3月の時期」です。この頃には一番求人票も出ており、転職が厳しい新卒1年目でも転職先が見つかる可能性が高くなります。
このようなこともあり、上記の「新卒なら1年は続ける」ことに著者も賛成します。次に転職しやすい時期は、5〜6月と、9〜10月です。もちろん、年間通して転職はできますが、転職に不利な新卒1年目では、少しでも転職しやすい時期を選ぶことも大事です。
おすすめの転職理由はある?
1年目での転職は、転職理由・退職理由が大事だとお伝えしましたが、まず、退職願や履歴書などに書く退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。
面接時に詳しい転職理由を聞かれることになるでしょうが、これには明確な答えはなく、次のことに気をつけながら自分なりの理由を考えてみてください。
- 嘘を付かない
- ネガティブな理由を言わない
- 転職理由と志望動機を一致させる
- できるだけ具体的に伝えられるようにする
- 結論から先に伝えて、後から理由を述べる
例を挙げますので、次のような転職理由を参考にしてみてください。
≪給料が低い場合の転職≫
求人票に書かれていた金額と、実際に貰えていた給料に大きな差があり、先輩上司が実際に貰えている給料も大きく増額にならないと分かり、給料アップを目指した転職を決意しました。
御社には、基本給の高さだけでなく成果に応じた歩合も魅力に感じ、しっかり成果を出していくことで御社のお役に立ちながら、給料も上がればより意欲的に働けると考えて、応募させていただきました。
≪労働時間が長い場合の転職≫
新卒ながらも2ヶ月目から残業が発生し、3ヶ月目には50時間の残業を超えました。先輩上司の様子を見ても、仕事と睡眠の繰り返しになっている人が多数で、自分のワークライフバランス改善のためにも早期に退職すべきだと決意し、転職することにしました。
まとめ
新卒1年目は転職で厳しい部分が出てくることも事実です。
- 給料に満足できていない
- 仕事が大変
- 仕事がうまくいかずに失敗ばかり
- 上司に怒られてばかり
- 社風に合わない
上のような理由で、転職を考えている方は、急ぎすぎて転職するのではなく、1年が経過するまで待ってみた方が転職も成功しやすくなる可能性があります。
また、1年経過することによって、仕事や人間関係に慣れるなどして、転職したい気持ちが消えていることも少なくありません。
一方で、次のような理由の方は、無理に働き続けることで、心身の不調が出てきてしまう可能性もありますので、転職も選択肢に入れるべきでしょう。
- ブラック企業に入社した
- ハラスメントが横行している
- 目指すキャリアプランと乖離がある
1年目で転職するにせよしないにせよ、中途採用での転職活動は初めてのはずです。学生の頃と違って、キャリアセンターのような学生限定の相談先も利用できません。
転職サイトや転職エージェントなどのサービスをフル活用しながら、後悔しない転職活動や情報収集を進めていきましょう。