新卒でベンチャー企業への就職を考えている方は、周りから「ベンチャーはやめとけ。」と言われることもあります。理由としては、ベンチャー企業が激務でブラック、大手と比べると給料が安い、などのイメージが強いからでしょう。
実際に大企業と比べると、会社の制度やコンプライアンスが整ってない会社も多いです。しかし、ベンチャー企業で働くことのメリットも多くあります。この記事では、新卒でベンチャー企業には絶対に行くなと言われる理由やメリットデメリットについて解説します。
新卒でベンチャー企業には絶対に行くなと言われる理由
ここでは、新卒でベンチャー企業には絶対に行くな!と言われる理由についてご紹介します。主な理由としては、以下の5つが挙げられます。
- 労働時間が長い
- 会社が倒産するリスク
- 新卒の教育環境が整っていない
- 大手と比べると給料が低い
- 福利厚生が充実していない
労働時間が長い
ベンチャー企業がやめとけと言われる理由の1つに、労働時間が長いことが挙げられます。ベンチャー企業は、大手企業と比較すると人数が少ないため、1人あたりの業務量が多くなる傾向があります。
しかし、経団連が491社を対象にした調査によると、従業員が100人未満の会社と5,000人以上の会社で労働時間にそこまで差はありません。
従業員数 | 労働時間 | 有給取得率 |
---|---|---|
100人未満 | 1,975時間 | 54% |
100人~300人未満 | 2,031時間 | 55% |
300人~1,000人未満 | 2,018時間 | 60% |
1,000人~5,000人未満 | 2,012時間 | 67% |
5,000人以上 | 1,959時間 | 73% |
有給取得率こそ20%程度の差はありますが、会社の規模が小さいからと言って必ずしも労働時間が長いとは言えません。逆に大手企業でも、激務と言われる会社は多くあります。
コンプライアンスや法令順守を強く意識する企業も多くなっており、労働時間は年々減少傾向にあります。労働時間については、会社の規模に関わらず、業種や仕事内容による影響が大きいでしょう。
会社が倒産するリスク
ベンチャー企業は、大手企業と比較して倒産のリスクが高くなります。 実際に、帝国データバンク「全国企業倒産集計2021年報」では、2021年の倒産件数は6,015件になりますが、そのうち上場企業の倒産件数は0件となっています。
このように、数値として現れている以上、ベンチャー企業の倒産リスクは大手企業と比べると高いと言えるでしょう。会社が倒産してしまえば転職を余儀なくされるため、一つの会社で長く働きたいという方には、ベンチャー企業は向いていないかもしれません。
新卒の教育環境が整っていない
ベンチャー企業では、新卒の教育環境が整っていないことも多くあります。ベンチャー企業は、基本的には中途での即戦力人材を採用することが多いですが、会社の規模が大きくなってきて新卒採用に初めて挑戦するという段階の会社も珍しくありません。
そのため、新卒を初めて受け入れる会社も多く、教育や研修制度が用意されていないこともあります。研修制度がなければ、右も左もわからないままいきなり実務を行うことになります。
いきなり実務をやらせて貰えるメリットもありますが、新卒がベンチャー企業に就職する場合は、自ら学びにいく姿勢がないと難しいかもしれません。
大手と比べると給料が低い
大手企業と比較するとベンチャー企業は給料が低い傾向にあります。基本的に給料に関しては、会社の規模に比例します。厚生労働省の調査によると、大企業と小企業では月給に約9万円の差があります。
企業規模 | 給料 |
---|---|
大企業 | 387,000円 |
中企業 | 321,000円 |
小企業 | 292,000円 |
引用元:平成 30 年賃金構造基本統計調査の概況 - 厚生労働省
ベンチャー企業の特徴として、売り上げが安定していないことが挙げられます。売り上げが安定していないと、従業員の給料を上げていくことも難しくなるため、経営が安定している大手企業と比較するとどうしても給料が低くなってしまうのです。
ただし、これも「会社による」というのが大きいです。ベンチャー企業の中には、安定して成長しているケースも当然あり、そういった会社では自分の成果が給料にすぐに反映されることも多いです。
福利厚生が充実していない
ベンチャー企業では、給料が低いだけでなく福利厚生も充実していない会社が多い傾向にあります。大企業の場合、「退職金制度」や「施設利用」などの福利厚生が用意されていますが、ベンチャー企業ではあまり見られません。
大手企業と比較すると、ベンチャー企業は人数も少ないため、福利厚生を充実されるという所まで目が向かないことも多いです。ただし、経営が安定してきて企業が成長すれば、福利厚生を整える余裕が出てくる可能性はあります。福利厚生も重視する就活生には、ベンチャー企業は向かないと言えるでしょう。
新卒でベンチャー企業に就職するメリット
ここでは、新卒でベンチャー企業に就職するメリットを3つご紹介します。
- 経営者と近い距離で仕事ができる
- 大きな裁量で仕事ができる
- 若くして役職がもらえる
順番に解説します。
経営者と近い距離で仕事ができる
ベンチャー企業のメリットの1つに、経営者と近い距離で仕事ができることが挙げられます。 大手企業の場合は、経営者と従業員の距離が遠く、社長と一回も会話したことがないというのも珍しくありません。
ベンチャー企業の場合は、経営者自身がプレイヤーとして仕事をすることも多く、経営者の近くで仕事ができることが多いです。経営者と仕事をすれば、自分の意見や提案を伝えやすかったり、経営スキルが身についたりなどが期待できます。
経営方針や事業展開に関わる業務も任してもらえることもあるため、貴重な経験がしやすく、そのような環境で仕事ができるのは大きなメリットです。
大きな裁量で仕事ができる
ベンチャー企業では、新卒でも大きな裁量を持って仕事ができる可能性があります。中には、新卒に新規事業の責任者を任せてみるベンチャー企業もあるでしょう。
事業責任者となれば、事業の立ち上げから戦略の立案、営業からマーケティングまで幅広い仕事をしなければいけないこともあります。その分、長時間労働になってしまう可能性はありますが、成長という観点で見ればこれ以上の環境はありません。
若くして役職がもらえる
ベンチャー企業に就職すれば、若くして役職がもらえる可能性があります。ベンチャー企業は、個人の能力や成果を重視する傾向にあるため、結果を出せば評価してもらいやすいです。
評価されることで、「主任」「マネージャー」「課長」など昇進できるようになります。20代のうちに役職がもらえることもあるため、大企業で働いているよりも出世が早く期待できます。
新卒でベンチャー企業に行くのがおすすめな人
新卒でベンチャー企業にいくのがおすすめできる人は、以下に該当する人です。
- 将来起業したい人
- 色んな仕事に挑戦してみたい人
- 自分の力で会社を成長させてみたい
大企業では、業務が細分化されており、一人ひとりに任せられる仕事は限定的であることも多いです。しかし、ベンチャー企業ではさまざまな仕事に挑戦でき、新規事業の立ち上げからマネタイズまで一貫して経験できることも多いです。
その分、若いうちに経験値を積むことができ、自分自身の成長に繋がるでしょう。会社経営に携わる業務も経験できるため、上昇志向がある人は特に向いているでしょう。
新卒カードを「ベンチャー」に使うのはもったいない?
「新卒カードをベンチャーに使うのはもったいない」という声も聞きますが、決してそんなことはありません。たしかにベンチャー企業は大手企業と比較すると、給料が低かったり経営に安定性がなかったりします。
しかし、仕事に対して真剣に向き合い成果を出すことで、自分自身の成長が図れますし、若いうちに大きい実績を積むことができます。自分も会社も成長できれば給料も上がり、活躍できる幅も広げられるでしょう。
ベンチャー企業のメリットデメリットを把握し、自分はベンチャーに向いていると思えばベンチャー企業への就職もありと言えます。
まとめ
本記事では、新卒でベンチャー企業には絶対に行くなと言われる理由をご紹介し、ベンチャー企業のメリットについても解説しました。ベンチャー企業は、大手企業と比較して「労働時間が長い」「倒産リスクが高い」などのデメリットがあります。
しかし、デメリットだけではなく「経営スキルが身に付く」「幅広い仕事ができて自己成長がしやすい」などのメリットもたくさんあります。ベンチャー企業を検討している就活生は、メリット・デメリットを踏まえた上で企業選びをしましょう。