求人情報でよく見かける言葉の1つが「第二新卒」です。しかし「第二新卒とは何かわからない」と感じる方も多いでしょう。
そこで本記事では、第二新卒の定義や意味を解説します。転職を考えるにあたって、ぜひ参考にしてください。
第二新卒の定義や意味とは
そもそも第二新卒という言葉に「明確な定義」はありません。 ただし厚生労働省の資料には、第二新卒について次のように言及されています。
なお、ここでの「第二新卒者」とは、それぞれの企業の中で第二新卒の定義がある場合にはその定義によるものとし、特に定義がない場合は、学校(高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院)卒業後、おおむね3年以内の者とした(学校卒業後すぐに就職する新卒者は除く。また、職務経験の有無は問わない)。
一般的には「学校卒業後に就職して3年以内の転職希望者」を意味するのが第二新卒です。大学卒業を基準として考えると、年齢としては25歳前後に該当します。
既卒と第二新卒の違い
既卒と第二新卒の違いは、正社員経験の有無です。第二新卒と同様に、既卒にも明確な定義はありません。 ただし、一般的には「卒業後に正社員としての社会経験がない者」を意味します。
卒業後に働いたとしても、契約社員・派遣社員・アルバイト・パートであれば既卒です。既卒者は新卒者よりも就職環境が厳しい傾向にあります。
そのため厚生労働省では、2010年に「青少年雇用機会確保指針」の改正を行いました。改正によって、3年以内の既卒者でも新卒枠で応募できる企業もあります。
新卒と第二新卒の違い
新卒と第二新卒の違いは、就業経験の有無です。 新卒とは「3月学校卒業見込みで4月から就業可能な学生」を意味します。
第二新卒とは違って新卒には就業経験がありません。新卒として扱われるのは学生のあいだです。卒業しても正社員として就業しなければ、既卒の扱いになります。
新卒3年以内に退職し「第二新卒」になる人の割合
卒業後に新卒として就職しても、3年以内に退職すると第二新卒として扱われます。
では第二、第二新卒になる割合はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省では「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」を公表しています。2019年のデータによると、最終学歴ごとの離職率は次の通りです。
学歴 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 合計 |
---|---|---|---|---|
高校 | 16.3% | 10.1% | 9.6% | 35.9% |
短大 | 17.8% | 11.8% | 12.3% | 41.9% |
大学 | 11.8% | 9.7% | 10.0% | 31.5% |
大卒の場合、新卒3年以内に退職して「第二新卒」になる人の割合は31.5%です。高卒や短大卒では、3年以内の離職率はもっと高くなります。このように、第二新卒になる人の割合はかなり高く、決して珍しい存在ではありません。
第二新卒は転職市場で一定の需要がある
第二新卒としての転職活動に不安を抱いている方も多いでしょう。確かに新卒よりも条件は「厳しい」と感じられるかもしれません。しかし、第二新卒は転職市場で一定の需要があります。
第二新卒の方はまだ年齢も若く、将来性を期待して採用したいと考える企業は多いのです。また、第二新卒は一定の社会人経験があり、基礎的なビジネスマナーを身に付けているため、教育する手間が新卒より省けるというメリットもあります。
企業側からしても、第二新卒を採用するメリットは多くあり、「第二新卒だから転職できない」という訳では決してありません。
企業側が第二新卒を採用する理由
企業側が第二新卒を採用するのには理由があります。そのなかでも、代表的な理由として挙げられるのが次の3つです。
- 新卒の採用が難しくなっている
- 採用や教育コストが新卒と比べて安い
- 年齢が若いため将来性に期待している
理由について1つずつ解説していきますので、ぜひ内容をチェックしてみてください。
新卒の採用が難しくなっている
第二新卒が転職市場で需要あるのは、新卒の採用が年々難しくなっていることも理由のひとつです。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査によると、2022年卒の大卒求人倍率は1.5倍でした。
しかし、従業員規模1,000人未満の企業では、倍率が5.28倍にも上ります。景気の影響により採用者数が減った企業はあるものの、現在は売り手市場です。
感染症流行の影響により不確実性が高まっているため、求職者は大手企業を志望する傾向にあります。そのため中小企業では、売り手市場である現在、新卒の採用が難しくなっているのです。
新卒が採用できない分、年齢的にも近い第二新卒の採用を進める企業も多くなっています。
採用や教育コストが新卒と比べて安い
第二新卒は「採用や教育コストが新卒と比べて安い」のも企業が採用する理由のひとつです。
日本では新卒一括採用が一般的なため、同時期に多くの候補者の選考が実施されることに。そうなると、企業は複数回に渡って選考を行わなければならないため、採用コストも高くなります。
一方、第二新卒は新卒のように採用選考の時期が決まっていないほか、候補者自体も少なめ。採用コストは新卒採用よりも少なく済む傾向があります。
また、新卒にはビジネスマナーやビジネススキルの教育も必要です。しかし、第二新卒は社会人経験が数年あるため、教育に掛かるコストも安く済みます。仕事内容によっては短期間で即戦力になれるでしょう。 若い人材を、コストを抑えて確保できるのが第二新卒の魅力です。
年齢が若いため将来性に期待している
企業が第二新卒を採用するのは、年齢が若いため将来性に期待しているからでもあります。第二新卒は、前職での経験年数が短く社風にも染まっていません。まだ若いため考え方も柔軟で、職場環境にもなじみやすいのが第二新卒です。
企業は第二新卒に長期的に活躍してくれることを期待しているのです。しかし、第二新卒は一度会社を退職した事実があるため、「すぐに辞めてしまうのでは」と懸念を抱かれることもあります。
第二新卒として転職をするメリットデメリット
第二新卒として転職するメリットデメリットについて、それぞれ紹介していきます。
メリット
若くて将来性のある第二新卒は、企業によっては歓迎されます。第二新卒として転職する代表的なメリットは次の2つです。
- 競争相手が少ない
- 未経験の仕事にも転職できる
- あまり高いスキルを求められない
転職をするうえで「年齢が若い」というのは大きなアドバンテージです。企業側も第二新卒にはそこまで高いスキルや経験を求めていないため、未経験の職種にも転職できるチャンスがあります。
また、前職で高い実績などがある方は、今よりも大きな会社に転職できる可能性も十分あるでしょう。年齢が若いと転職はしやすいため、今働いている会社の待遇や労働環境に不満を感じている方は、転職も立派な選択肢のひとつです。
デメリット
一定の需要が見込める第二新卒でも、デメリットはあります。代表的なデメリットは次の2つです。
- 転職回数が多いとネガティブな印象を与える
- ブランクが長いと転職が難しくなる
第二新卒の目安である3年間で複数の転職があると、すぐに辞める人というネガティブな印象を与える可能性があります。また、退職から応募までのブランクが長いと、なぜなのか理由を聞かれるかもしれません。
このとき人間関係などへの不満を述べるとマイナスに捉えられます。相手が納得するポジティブな転職理由を考えましょう。また、履歴書や職務経歴書などを工夫し、面接対策もしておくのがおすすめです。
第二新卒についてよくある質問
ここでは、第二新卒に関するよくある質問をご紹介します。
フリーターでも卒業後3年以内なら第二新卒になる?
明確な定義はないものの、フリーターの場合、一般的には次の2パターンが考えられます。
第二新卒 | 卒業後に正社員として就職したが退職して非正規雇用で働いている |
既卒 | 卒業後に正社員として就職せず非正規雇用で働いている |
正社員としての就業経験があるなら、基本的には第二新卒です。ただしアルバイト経験のみであっても、卒業後3年以内なら第二新卒として扱う企業もあります。
第二新卒としての就活は厳しい?
第二新卒で就活に成功している人は大勢います。そのため必ずしも第二新卒としての就活は厳しいとは限りません。第二新卒でも十分にチャンスはあります。
ただし、初めての転職活動になる方も多いので、不安に感じてしまうのも無理はないでしょう。もし自分ひとりで転職を進めるのが不安であれば、転職エージェントの利用もおすすめです。
転職エージェントを利用すると、今後のキャリアプランから履歴書や職務経歴書の作成、面接対策までサポートしてくれます。
第二新卒として扱う年齢はいつまで?
「学校卒業から3年以内の人」を第二新卒として扱うのが一般的です。なので、大卒であれば25歳前後、高卒であれば20歳前後となります。ただし、20代までを第二新卒とする企業もあります。
まとめ
第二新卒とは、卒業後に就職して3年以内の転職希望者を意味するのが一般的です。明確な定義がないため、企業によって解釈が違ってきます。
新卒の採用が難しいなか、ビジネスマナーを身につけた第二新卒は将来性のある存在です。ただし第二新卒なら、自分に不利な印象を与えないアピールが求められます。
自分の強みを知って企業に対して効果的なアピールを行い、就職活動を成功させましょう。