ブラック企業かホワイト企業か

ブラック企業とは、長時間労働や残業代未払い、ハラスメントの横行など、労働者にとって過酷な労働環境になっている会社のことを言います(関連:ブラック企業とは)。

これから就活や転職をする方は、なんとしても自分がブラック企業に入社してしまうことを阻止したいところですよね。こちらの記事では、求人票や面接時のブラック企業の見分け方をご紹介します。

今回お伝えするブラック企業の見分け方をまとめると次の通りです。

ブラック企業の見分け方まとめ
自分でチェック
  • 企業の口コミサイトをチェック
  • ブラック企業リストをチェック
  • 就職四季報をチェック
求人票でのチェック
  • 給料の差額のチェック
  • 要注意フレーズのチェック
  • 掲載期間・頻度のチェック
面接時のチェック
  • 面接官の態度をチェック
  • 内定スピードをチェック
  • オフィスの雰囲気をチェック

求職者にも会社を選ぶ権利があります。ご自身でもブラック企業かどうかをしっかり見分け、入社後に後悔しないように慎重に就職先を判断していきましょう。

就職や転職時のブラック企業の見分け方

まずは、就職や転職時の準備段階からできるブラック企業の見分け方をご紹介します。求人票での情報だけでなく、ご自身で会社の情報を探ってみるだけでも、ブラック企業がどうかをけっこう見分けることができます。

企業の口コミをチェックする

現在では、インターネットを通じて会社の求人情報だけでなく、実際に働いたことがある人の口コミを調べることができます。代表的なサイトは次の3つです。

やりがいや労働環境、給与査定など、様々な観点から5つ星評価などがされており、実際に働いた人のコメントも載せられています。

これから就職しようと考えている企業を実際に調べてみて、他の企業と比べて、働く人の評判は良いか悪いかを判断するだけでも、ブラック企業かどうかを見分けることができるはずです。

ブラック企業リストをチェックする

労働基準法に関連する法令違反をした会社をまとめた『ブラック企業リスト』というサイトがあります。

政府から注意・指導・罰則を受けた会社だけですので、氷山の一角ではありますが、転職しようとしている会社を調べてみる価値はあるでしょう。

これから就職しようとしている会社が直近で何かの問題を起こしていたようであれば、慎重に就職活動を進めるべきです。

就職四季報をチェックする

就職四季報」という東洋経済新報社が毎年出版している就職情報誌には、5000社の会社の詳細が載せられており、ブラック企業を見分けるツールとしても使うことができます。

ブラック企業を見分けるために特に確認しておきたい数字が、離職率残業時間です。離職率が高ければ、退職する人が多いだけのなにかしらの理由がありますので、より就職に慎重になるべき会社と判断できるでしょう。

ブラック企業の見分け方~求人票のチェックポイント~

実際に就職活動をするとき、求人票の情報から会社選びをスタートさせる方も多いでしょう。こちらでは、求人票の中から、ブラック企業を見分けるポイントをご紹介します。

給料の幅が大きい

求人票には、「基本給200,000〜250,000」というように、幅を持って給料が書かれている会社が多くあります。高い金額の方に目が行きがちですが、高い金額は役職手当や残業手当などの手当等を全て含めた上での金額にしていることが多いです。

よって、求人票に書かれている給料に幅がある会社は下限を見るべきで、下限と上限に大きな幅があるようでしたら、残業や会社独自の手当(貰えないことも多い)が多いブラック企業の可能性も高いと考えて良いでしょう。

要注意なフレーズが書かれている

求人票には、自社に応募してもらえるための魅力的な売り文句を掲載しますが、ブラック企業によくある要注意フレーズというものもあります。

端的に言うと、ブラック企業は給料や労働条件、業績などの具体的な数値でアピールできる部分が少ないため、「やる気」や「雰囲気」など、抽象的な言葉でアピールしていることが多いです。簡単によくある要注意フレーズの解説をします。

「アットホームな職場」

よく見られる求人票での売り文句ですが、ブラック企業の場合「アットホーム=なんでも言える関係(会社から一方的に)」と解釈していることがあり、まるで家族のような遠慮のない接し方をされる可能性があります。

その結果、厳しすぎる叱責や過度な要求、報酬に見合わない要求、プライベートなことまで聞いてくるなど、ブラック企業にありがちなハラスメント行為が横行している職場になっているかもしれません。

「ノルマなし」

特に営業職ではノルマなしだと良いなと考えている人も多いでしょうが、実際にノルマが全くない営業職はほとんどありません。

「ノルマなし」と書かれている会社の場合は、「歩合制のノルマがない」「最初の数ヶ月はノルマなし」という意味合いの会社が多くあります。本当はノルマがあり、むしろノルマ未達で上司から厳しく迫られるようなことも十分にあり得るでしょう。

わざわざ書くということは、裏側に厳しいノルマでこれまで多くの従業員を離職させてきた背景もあり得ると考えられます。

「自由な社風」

自由な社風」と言うと聞こえは良いですが、裏を返せば、会社内の秩序が保たれておらず、数多くの問題が放置されていることも考えられます。

また、上記のようなアットホームな職場のような社員間の距離が異様に近い会社になっていることも多いでしょう。

「やりがいのある仕事」

やりがいのある仕事」というアピールでは、本人にとってやりがいがある仕事ではなく、「多少過酷な労働環境や仕事量でも対応できる人を採用しよう」という意図が汲み取れます。

膨大な仕事量でも、無理やりポジティブに言い換えれば「やりがいがある」と言えてしまいますからね…。

採用人数が多く長期間求人が掲載されている

ブラック企業では、入社してもすぐに人が辞める離職率が高い状態になっており、常に人が足りていない状態の会社が多いです。また、給料等の労働条件が良くないと、応募もあまりきません。

その結果、いつまでも求人掲載されており、数ヶ月就職活動をしていると「よく見る求人」になっていることも多いです。大企業や急成長している会社は、年間通して求人を掲載していることもよくあります。

しかし、業績がよくわからない会社が1年中求人を出しているような場合、「なにかしらの理由で人手が足りていないブラック企業?」だと疑った方が良いでしょう。

ブラック企業の見分け方~面接時のチェックポイント~

最後に、ここまで求人や口コミなどの事前情報ではブラック企業と見分けられなかった方の最終手段として、面接時のブラック企業の見分け方をご紹介します。

面接は実際に会社内で行うことも多いですから、会社の雰囲気や状況をリアルに知るための一番のチャンスでもあります。面接は、面接官が求職者を採用するかどうかの場だけではありません。

求職者であるあなたも、その会社に入って気持ちよく働けそうかどうかを判断する場所にしてください。

面接官の態度

担当する面接官の態度だけでも色々な情報を読み取ることができます。ある程度の規模の会社であれば、人事担当者が採用担当になりますが、従業員数十名までの中小企業であれば、直属の上司が面接することも少なくありません。

この人と一緒に仕事をしていけるか」を判断しながら面接に挑みましょう。ブラック企業の可能性が高い面接官の態度として、次の内容が挙げられます。

  • 高圧的な態度
  • 敬語や挨拶ができていない
  • 個人的な質問や雑談が多い
  • 質問しても答えない

求人票だけではブラック企業かどうかの判断が難しい場合、ご自身で質問を用意しておくと良いでしょう。

例えば、「求人票では給与の上限と下限に10万円の差がありましたが、入社した場合にはどの金額になるのでしょうか?」などです。その質問をはぐらかされるようなことがあれば、「やっぱりか」とブラック企業だと確信できるかもしれません。

内定のスピード

ブラック企業は基本的に人手が足りていません。応募に来た求職者が他社に移ってしまわないように、早急に採用を決めて働いてもらう段取りを組み始めることが多いです。

たとえブラック企業でも、面接を受けに行って「採用」と言われると嬉しくなってしまいますが、あまりにも採用までのスピードが早いと、本当に入社して良いかどうかを一旦冷静になって考える状況と言えます。

一般的には、採用までに数日〜1週間ほどはかかりますが、当日や翌日に採用が決まるようであれば、あなたと面接官との相性が相当良かった時以外は要注意です。

オフィスの雰囲気

面接を受けるにあたって、会社内に招かれることも多いでしょう。面接官だけではなく、ぜひ職場の雰囲気も実際の目でチェックするようにしましょう。

次のような職場では、ブラック企業の可能性も高く、仮にブラック企業でなかったとしても、気持ちよく働けない要素がいくつもありますので要注意です。

  • すれ違う人に挨拶や愛想がない
  • 従業員が疲れている・身なりが乱れている
  • 社内が散らかっている・汚れている
  • 雰囲気がピリピリ・バタバタしている
  • ジロジロ見られる
  • 根性論のような標語が多く飾られている

また、社内で面接を行わず、貸し会議室や近くのカフェなどで面接が行われるケースもあります。特にカフェ等の即席の場所で面接が行われる会社では、資金力がなかったり、オフィスが手狭だったりする可能性が高いと考えられます。

ベンチャー志望で、社内設備の充実を必要としていない方であれば問題ないのでしょうが、ある程度の社内設備を望んでいる方は、面接する場所にも気を付けておきましょう。

ブラック企業の見分け方まとめ

ブラック企業に入社してしまうことはなんとしても避けたいものですよね。事前にご自身で少し詳しく調べておくだけでも、ブラック企業を見分ける方法はいくつもあります。

「なんで離職率が高いのだろう?」「なぜ常に応募しているのだろう?」など、就職活動中に少しでも疑問に思う会社が出てきた場合には、後悔しないためにも抜かりなくご自身で調査してみることを強くおすすめします。

著者も初めての転職では、「採用されればいいや」の考えで、月に4日も休みがないブラック企業に入社してしまいました。結局3年程度で転職することになったので、そのような過ちを犯さないためにも、ぜひともブラック企業を見分けることを怠らないようにしましょう。