現在フリーターの方は、将来的に正社員への就職も検討していることでしょう。しかし、「フリーターから正社員への就職は難しい」と感じている人も多いと思います。
その人の状況や年齢などにもよりますが、フリーターから正社員へのの就職は十分可能です。
こちらの記事では、フリーターが正社員への就職を成功させるための知識やフリーターの就職が難しくなる理由などをご紹介します。
フリーターと正社員の違い
まず、フリーターと正社員にはどのような違いがあるのかをまとめました。
先にお伝えすると、フリーターを続けることにはデメリットも多いです。なんとなくフリーターを続けてしまっている方は、現状を変える原動力にしていただければと思います。
収入の違い
フリーターと正社員では、まず収入の違いが挙げられます。
正社員は基本的に月給で給与が決まっていますが、フリーターは時給にされることが多いので、働かなければその分収入にも直結します。
また、時給換算した場合もフリーターの方が低いことが多いです。例えば、月に20日8時間働いたとして160時間。時給1,000円だと16万円の給与になります。
年齢や勤続年数にもよりますが、同じ時間の労働で16万円以上貰っている正社員もたくさんいますね。他にも手当や福利厚生などの面から正社員が金銭的に優遇される点は多いです。
雇用形態や契約期間の違い
正社員とは、いわゆる期間の定めがない正規社員のことを言い、フリーターなどの非正規雇用の従業員は有期契約が結ばれていることになります。
日本の法律では、解雇をすることが非常に難しく、正規社員であればよっぽどのことがない限り解雇されることもありません(まれにありますが不当解雇の可能性も高い)。
有期契約社員は半年や1年ごとに契約期間が定められており、本人の能力や会社の業績が悪ければ簡単に契約を切りやすい状態になっています。
昇給や将来性の違い
上記の契約の違いから、非正規雇用だと将来も安心して働き続けられる保証はありません。
また、フリーターの昇給制度は微々たるもので、仮に長く働いたとしても月額数万円の給料が上がるくらいでしょう。
このような理由から、フリーターの方は将来の見通しが立てづらく、さらには給料も低いことで貯金もあまりできず、その日その日を生活していくことしか考えられない人も多いです。
社会的信用の違い
このような収入の違いなどから、フリーターの社会的信用が低いことも事実です。
例えば、車や家を買いたいと思ってもローンが組めなかったり、結婚相手として選ばれなかったりします。
また、フリーター期間が長いと、就職時にも採用担当者からマイナスの印象を受けられることもあります。
フリーターから正社員への就職は難しい?
ズバリ申し上げると、フリーターから正社員への就職は難しい部分もあります。
しかし、しっかり準備をした上で就職活動に取り組んでいけば、正社員として採用してくれる企業も出てくるはずです。
フリーターから正社員に就職するにあたって、どのような部分に気をつけておくべきかを知っておきましょう。
会社や職種を選ばなければ難しくない
日本の人口はどんどん減少しており、少子高齢化もあって人手不足になっている業界も多いです。
人手不足への対応は定年を過ぎた高齢者の雇用や外国人労働者などで補っていますが、20〜30代のバリバリ働ける世代であれば、フリーターでも積極的に採用したいと考えている企業も多いです。
フリーターでも仕事を選び過ぎなければ、十分に働き先があります。反対に、人手不足に陥っている会社ということは、それなりの理由があることも考えておかなくてはなりません。
長時間労働や仕事内容が過酷、賃金が低いなどの理由で人手不足になっていることも多いです。就職する業界を選ぶ際は、事前に企業研究や会社の評判をチェックしておきましょう。
フリーター期間が長いと難しくなっていく
多くの方がイメージしているように、フリーター期間が長くなればそれだけ正社員になることが難しくなっていってしまいます。
フリーター期間が6ヶ月以内の人と、3年超の人とでは、正社員になれた割合が約15%も違います。
ただ、フリーター期間がそのままマイナスに繋がるとは限りません。
アルバイトでの経験が役に立つ仕事や明確な意図を持ってフリーターをしていたような場合には、プラスに受け取ってくれる企業も多くあります。
反対に、「ただなんとなくフリーター生活を送っている」「あまり働きたくないからフリーターをしている」ような方は、フリーター期間が長くなるほど就職も難しくなってくるでしょう。
アルバイトの経験を活かして正社員にもなれる
フリーターから正社員になる方法としては、アルバイトからの社員登用も1つの手段です。
まずはアルバイトとして働き、実際に働いて評価を得たうえで社員登用される方法です。
アルバイトの求人に「社員登用あり」と記載がある求人もありますし、優秀な方であれば特別に「社員にならないか?」と打診がある場合もあります。
働く人からしたら、社員になる前に仕事内容や職場環境などを知った上で決められますし、会社としてもその人の人柄や能力が分かった上で正社員にできるメリットがあります。
ただ、社員登用までに時間が掛かったり、本人が望んでも正社員になれない可能性もあります。
アルバイトから社員登用が多い仕事として、次のような仕事が挙げられます。
- ベンチャー企業
- 販売・サービス業
- 飲食業
- 製造業
- ファッション系
- 医療系
社員登用があるアルバイトの求人から就職先を探してみることも1つの方法です。
フリーターの就職で企業側の採用が厳しい理由
ここまで何度か触れたように、フリーターだからという理由で正社員での採用が難しくなってしまうケースがあります。
こちらの項目では、どのような理由で企業がフリーターに対して厳しい目を持ってしまっているのかをご紹介します。
上記の厚生労働省の資料を参考に、主な理由をお伝えしていきます。
いつ辞めるかわからないから
正社員になれば年単位でその職場で働きますが、フリーターは長期的に同じ職場で働いた経験がない方も多いでしょう。
特にやりたい仕事を見つけようとして、アルバイト先を転々としているような方であれば、すぐ辞めるかもしれないと敬遠されて採用が難しくなります。
年齢相応のスキルや知識がない
基本的にアルバイトだと、専門的な知識を要する業務は行わないことが多いでしょう。また、正社員と比べて新しい業務を任せられる機会も少なく、どうしても経験や知識が乏しくなりがちです。
会社によっては「アルバイトでの経験は評価しない」ところもあるでしょう。また、年齢が若ければ大目に見てもらえる部分もありますが、年齢が上がるにつれて求められることも増えます。
ある程度の年齢で「基本的なビジネスマナー」や「社会人として必要な最低限の能力」が身に付いていなければ、就職も難しくなってくるでしょう。
教育する必要があるから
フリーターの方は基本的に「未経験」での入社となるため、会社側は業務に必要なスキルを一から教えていく必要があります。
また、初めての正社員であれば、基本的なビジネスマナーなども指導しなくてはなりません。
そのため、経験者を採用するよりも教育のコストや手間が掛かり、会社側の負担となってしまいます。
教育が必要な上に、いつ辞めるか分からない人だと思われてしまえば、かなりネガティブなイメージを持たれてしまいます。
フリーターから正社員になるには
こちらの項目では、フリーターから正社員になるためにやっておくべきことについてご紹介します。
ハローワークを活用する
フリーターから正社員に就職する場合には、まず近くのハローワークを活用しましょう。ハローワークでは、求人情報の収集だけではなく、履歴書作成や面接対応のサポートも行なってくれます。
一般の求職者だけでなく、事情があって仕事に就けていない方や年齢が上がってからリストラ等によって仕事を探している方など、幅広い人の就職支援を行なっていますので、フリーターの就職支援でも心強いでしょう。
就活サイトやエージェントを活用する
就職サイトやエージェントの活用もおすすめです。就職サイトでは、主に自分で求人を探し出し、気になる募集に対して自分で応募します。
一方エージェントでは、求人の紹介から履歴書の作成、面接対策まで幅広いサポートが受けられます。
現在、数多くの転職サイトやエージェントが存在していますが、その中でもフリーターの就職に力を入れているサービスを利用することをおすすめします。
フリーター向けの就職支援サービスでは、未経験歓迎の求人を多く扱っており、フリーターの事情もよく理解しているため、非常に頼もしい存在です。
資格やスクールで専門的な知識を身に付ける
フリーターのひとつのメリットとして、時間の融通が利きやすい点が挙げられます。
その時間を有効活用して、資格の取得や専門的なスキルを勉強しておくことも就職を成功させやすくする方法のひとつです。
例えばプログラミングスクールなどは、エンジニアに必要なスキルから就職支援まで対応しており、スクールを一通り修了すれば就職時のアピールポイントにすることもできます。
時間があって方向転換も取りやすい今の時期だからこそ、自分がやりたかったことを本格的に学び直してみることも良いかもしれません。
フリーターからなれるおすすめの職業
フリーターから正社員を目指すには、こだわりを持ち過ぎずに社員として採用されやすい仕事を中心に狙っていくことも大事です。
一般的には次のような職業では、フリーターからでも就職しやすいと考えられます。
人手不足の職業
人手不足の職業であれば、求職者の経歴を気にし過ぎている余裕もないため、フリーターの方でも採用される可能性が上がります。
主に次の職種・業界では人手不足の会社が多いです。
- 土木・建築業
- 介護サービス
- 医療・介護
- 接客業
- 飲食業
- 運送・配送業
ただし、人手不足の企業には、人手不足になってしまうだけの理由もあります。
業務が過酷、賃金が低いなどの会社も多いため、事前にしっかり企業研究を行い、「ここでなら仕事を続けられそう」と思える会社にのみ応募をしましょう。
アルバイトから社員登用しやすい職業
上でも触れましたが、アルバイトから社員登用によって正社員を目指す方法もあります。
一旦はアルバイトでの採用になりますが、社員登用を行っている会社であれば、働きぶりによっては正社員になることも可能です。
社員登用が多い職種・業界としては次の職業が挙げられます。
- 販売・サービス業
- 飲食業
- 製造業
- ファッション系
- 医療系
また、今いる職場でも仕事内容や職場環境などに不満がなければ、社員登用が可能かどうかを聞いてみても良いでしょう。
ベンチャー企業
ベンチャー企業は大手企業に比べると学歴や経歴をそこまで重要視しない傾向にあります。
フリーターの方でも、年齢や意欲、人柄などによって正社員で採用される可能性も高くなります。
ただ、多くのベンチャー企業では人材教育を行う余裕があるわけではないので、いきなり現場に駆り出されるなど大変な思いをすることもあるでしょう。
しかし、その大変な思いもひとつの経験にはなるため、とりあえずベンチャー企業に入社して経験を積み、その経験を活かして次の転職先を探すのもひとつの選択肢でしょう。
まとめ
フリーターから正社員への就職は、確かに難しい部分もあります。企業側がフリーターに対して抱いている懸念点は主に次の内容です。
≪企業がフリーターを採用したがらない理由≫
- すぐ辞めると思われている
- 年齢相応のスキルや知識が不足している
- 仕事に対する考え方などを教育し直す必要がある
フリーターから正社員への就職を成功させるためには、次の戦略も立てていきましょう。
≪フリーターの就職を成功させるためのポイント≫
- 仕事内容にこだわり過ぎずに、幅広い求人を候補に挙げる
- 社員登用によってアルバイトから正社員になる
- ハローワークや就職エージェントなどをフル活用する
- 資格やスクールなどによって知識・スキルを身に付けておく
現在フリーターの方でも、決して就職が無理ということはありません。
就職を成功させるためには、ちょっとした頑張りと工夫をすることで成功に近づきます。本記事を参考に、今からできることを少しでもスタートさせていきましょう。