元介護従事者のフリーライター。介護業界に入職するも、心身のバランスを崩し退職。その後一般企業で販売員や事務員を経験。
介護業界の離職率は、一般的な職種と比べて高いものではありません。じつは「介護の仕事はつらくて辞めたい」と思っても、踏みとどまって仕事を続ける人が多いのです。
この記事では介護職を辞めたいと思う主な理由と、介護職を辞めずに乗り切るための対処法を紹介しています。
介護職を辞めたいと感じる8個の理由
介護職はつらい仕事であることから、離職率が高いイメージがあります。介護職の何が不満で、辞めたいと思うようになるのでしょうか。
ここでは、介護職を辞めたいと感じる主な理由を8個紹介します。
①人間関係に不満がある
介護職を辞めたいと思う大きな理由のひとつは、人間関係に対する不満です。
介護施設は、利用者やそのご家族、職員、さまざまな人と接する機会が多くあります。また施設によっては、24時間利用者の生活に寄り添う必要があることも。
チームとして連携し介護をする必要があるため、人と幅広くかかわる必要があるのです。
そのため、同僚とうまくコミュニケーションが取れなかったり、利用者に心ないことを言われたりと、ストレスが溜まることも多くあります。
とくに介護の現場は、外部の目が入りにくく、職員同士のいじめの発生しやすい環境にあります。人間関係に不満を持ち、介護職を辞めたいと思う人もいるでしょう。
②仕事内容に対しての給料が安い
介護職は、利用者の生活に密接に寄り添い、細やかな対応が要求される仕事です。
高いコミュニケーション能力や、状況に応じた対応力など、さまざまなスキルが求められる仕事です。介護職は重労働でありながらも、他の職種に比べて給料が低い傾向にあります。
いくらやりがいのある仕事でも、給料が仕事内容に見合わなければ、モチベーションが下がってしまう人もいるでしょう。国も介護職の待遇改善を行っていますが、まだまだ足りないのが現状です。
③責任が重い仕事である
医療福祉業界は、利用者の命を預かる責任の重い仕事をしています。
自分の少しのミスが、人の命にかかわってしまうと思えば、ストレスを感じてしまい、なかなか仕事にうまく向き合えない人もいるでしょう。
とくに夜勤従事者は「自分の勤務時間中に何かが起こったらどうしよう」と思う人も多いのではないでしょうか。
絶対に失敗できない状況に置かれると、大きなストレスを感じ、仕事がつらいと思うようになるでしょう。
④社会的地位が低いと感じる
介護職は常に人手不足であり、求人情報誌にはいつでも介護施設の求人情報が載っています。
そのため、介護職には誰でも簡単に就職できるイメージをもつ人も多いのではないでしょうか。
「仕事内容の割に給料が低い仕事」「汚れ仕事だから、できるなら就きたくない仕事」という考えをもつ人もいるでしょう。
また、「介護は家族がするもの」という意識から、「誰にでもできる仕事」というイメージを持っている人も少なくありません。
このような理由から、介護職は専門職であるにもかかわらず、社会的地位が低いと感じる人も多いのではないでしょうか。
やりがいのある仕事だと感じていても、職業を軽んじられれば、辞めたいと思う人もいるでしょう。
⑤人手不足で忙しい
介護業界は高齢化に伴い、介護を必要とする人は多いのに、介護を提供する人が足りないという、深刻な人手不足に陥っています。
人手が足りないことで職員一人ひとりにかかる負担が大きくなり、残業や休日出勤を強いられる職員もいるでしょう。
休憩時間をもらっても、現場の忙しさを目の当たりにし、急いで戻らなければならないことも多いのではないでしょうか。家庭と仕事の両立が難しく、介護職を辞めたいと思う人も多くいます。
⑥肉体労働がきつい
介護職は、自分の体よりも大きな利用者の移動を手伝ったり、入浴や排泄の介助、常に呼び出し音に追われて走り回ったりと、体力的にきつい仕事です。
また夜勤のシフトに組み込まれると、10人以上の利用者を1人で見て回らなければならないといった事態も発生します。
さらに、介護職は慢性の腰痛を抱えている人が多く、肉体的負担の大きい仕事です。やる気はあるのに、体力の限界から仕事を辞めたいと思う人もいるでしょう。
⑦キャリア形成に不安がある
介護職は将来に対する不安から辞めることも多い仕事です。
とくに20代30代で介護業界に入って働き始めた人のなかには、このまま介護職として働いても、将来は大丈夫なのか、と感じる人も多くいます。
結婚、出産、育児といったライフプランを立てる上で、介護職として働き続けることに限界を感じる人もいるのです。
福祉系の資格を取れば、昇給やキャリアアップも見込めますが、それでもきつい肉体労働のある介護職。ずっと働き続けることに限界を感じ、辞めたいと思う人もいるのではないでしょうか。
⑧経営方針に賛同できない
意欲をもって、介護業界に就職したにもかかわらず、思い通りの介護ができないと、介護職に見切りをつけてしまう人もいます。
お年寄りと触れ合うことが好きという理由で、介護業界に入った人は、時間に追われ型にはまった介護をしなければならなくなったとき、仕事がきついと感じるようになるでしょう。
改善を提案しても、予算や人員の関係で理解が得られないなど、自分の思い描いている介護ができず、苦痛に感じてしまう人もいるでしょう。
介護職を辞めたいときにおすすめの対処法
介護職に対する不満は多くあることでしょう。しかしすぐに辞める前に、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
ここでは、介護職を辞めたいと感じたときに、おすすめの対処法を紹介します。
待遇に不満がある場合
介護の仕事自体に満足していても、拘束時間や労働環境に満足いっていない場合もあるでしょう。
- 夜勤はないと聞いていたのに、夜勤のシフトに入れられている
- 掃除はない施設を選んだのに、人件費の削減で介護職員が掃除をさせられている
- 業務が終わったのに、平然と仕事を言いつけられる
上記のように、入社時に提示された労働条件とは異なった業務を要求されていることがあります。
業務内容に違和感を覚えた際には、問題点を一つひとつ丁寧に洗い出した上で、施設長や人事課に相談しましょう。
その際には、自分が絶対に譲れない条件を設定しておくと、交渉がスムーズに進みます。
仕事内容に不満がある場合
介護の仕事自体に不満がある場合には、自分の状況を改善するべく動く必要があります。ここでは、介護の仕事内容に不満がある場合の対処法を紹介します。
資格を取得する
給料や仕事内容に不満がある場合は、資格を取るのがおすすめです。
介護福祉士やケアマネージャーなど、介護に関する資格を取ることで、手当がついたり、キャリアアップも可能になったりします。
資格を取ると、知識や技能の証明にもなり、通常の職員よりも将来性が見込まれることとなるでしょう。
上司に相談する
介護職を辞めたいと悩んでいる人は、上司に相談するのもおすすめです。何がつらくて悩んでいるか、どうして辞めたいのか、など上司に直接相談してみましょう。
シフトの見直しや、業務の割り当てなど、業務内容の改善に動いてくれる場合があります。介護業界は人手不足のため、あなたを辞めさせないために上司も力を尽くしてくれるでしょう。
転職を視野に入れる
介護職をどうしても辞めたい場合は、転職を視野に入れて行動しましょう。介護職はやりがいのある素晴らしい仕事ですが、心身のバランスを崩してまで働くべきではありません。
限界だと感じる前に少し休み、自分を見つめ直す期間を設けましょう。違う施設でも違う職種でも、自身が少しでも楽になれる環境への転職を考えてもよいでしょう。
まとめ
介護職はやりがいがある反面、責任が大きく、負担を感じる場面も多い仕事です。さまざまな要因から介護職を辞めたいと思う人も多いでしょう。
介護職を辞めたいと思ったら、自分がなぜ辞めたいと思ったのか、どうしたら改善できるのかを考え、周りに相談してみるとよいでしょう。
どうしても辞めたい気持ちが収まらなかったら、一度介護から離れ、他業種に挑戦してみるのもおすすめです。 1人で悩みすぎず、少しでも楽になれる方法を試してみてはいかがでしょうか。